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後見制度支援預金の利用

寝屋川市の司法書士 渡辺です。

被後見人(以下、本人)の財産が多額である場合、

後見支援制度の利用を検討するよう家裁から指示されます。

後見支援制度については、従来から運用されている後見制度支援信託に加え、

これと同様の仕組みとなっている預金(後見制度支援預金)の運用が開始されました。

後見制度支援預金は、運用開始からさほど年数が経っていないため、

利用例が少ないようで、金融機関側も詳しくわかっていないケースもあるようです。

そこで、実際に後見人として後見制度支援預金契約をどのように締結したかを紹介します。

相続 後見 遺言書作成 ご相談ください。

寝屋川市 香里園 あいゆう司法書士事務所

後見制度支援預金の取扱いが始まりました。東京家裁後見センターレポートvol.18

後見支援制度利用適否の検討

目次

後見制度支援信託・後見制度支援預金とは?

まずは用語の説明から

後見制度支援信託

本人の財産のうち、日常的な支払をするのに必要十分な金銭を預貯金等として後見人が管理し、

通常使用しない金銭を信託銀行等に信託する仕組み

後見制度支援預金

本人の財産のうち、日常的な支払をするのに必要十分な金銭を預貯金等として後見人が管理し、

通常使用しない金銭を後見制度支援預金口座に預け入れる仕組み

親族の説得

これが最も骨が折れるのではないでしょうか。

親族の意向を組み、説得を断念したこともありましたが、(その後をみて)後悔したこともあります。

時間をかけて、(口論になったとしても)腰を据えて説得した方がお互いにとってよいかもしれません。

支援信託か支援預金の選択

親族後見人(予定者)と相談して支援信託と支援預金のいずれを利用するか決めます。

本人の収支が増であれば、後見制度支援信託の利用が相当であると判断して良いと思います。

問題は、本人の収支が減る場合です。

いま本人の財産が1000万円を超えていたとしても、後見制度支援信託には1000万円を切ってしまえぱ

続けられないものがあるので、収入が少なくて2、3年後には1000万円未満になることが見込まれる場合には、

後見制度支援預金を検討することになります。

金融機関の選択

各金融機関さんで後見制度支援預金口座という商品を作った趣旨からすれば、

普通口座を開設している金融機関で後見制度支援預金口座を開設するのが筋でしょう。

しかし、他の金融機関であっても、制度上は可能です。

手続きが結構大変かもしれませんが。

実際は

普通口座を開設している金融機関とは違う金融機関で後見制度支援預金口座を開設しました。

申立人(親族)が指定した後見人候補者(行政書士)へのリレー案件で、

本人名義の口座は複数あったのですが、後見人予定者たる行政書士の意向で、

ゆうちょ銀行の通常貯金のみを残し、他は解約しました。

本人は現役時代に年金を払っていなかったため、収入がなく(それなのに、預金が1千万円超)、

施設利用料と介護保険料が月々引落とされている状態です。

そうなると、他金融機関での開設を検討せざるをえません。

(ゆうちょ銀行には、” 後見制度支援貯金” なる商品がありますが、

この商品は他の口座への定額自動送金ができないので、

収入が見込めず、財産が減ってゆく場合は利用できません。)

そこで、本人がもともとメインで利用していた信用金庫の違う店に問い合わせてみました。

もとは本人の家の最寄りの店に口座があったのですが、解約してしまいました。
(まあ、後見人の事務所から一時間以上かかるような場所でしたからね)

半月ほど後に、後見人予定者の確認をとってから、

本人がいる施設に近い店(後見人予定者の事務所にも近い)に問い合わせました。

このときは信金に口座がなかったのですが、少し前まで他店に口座があったということで、

いろいろきついこともいわれました(仕方のないことですが)が、

店の方がいろいろ気を回していただいて、何とか開設していただける運びとなりました。

指示書の作成

金融機関で開設してもらえることが確認できれば、

後見支援制度の利用が相当である旨の報告書と指示書を作成し、

財産目録とともに家裁に提出します。

報告書記載事項

後見支援制度の利用が相当である旨の報告書の指定様式は特にありません(大阪家裁では)。

私は連絡票の様式を使用し、”連絡票” を”報告書”に変えて作成しました。

以下に例を挙げます。

本件につき、後見支援制度の利用の適否について検討しました結果、

後見制度支援預金(または後見制度支援信託)の利用が相当であると判断しましたので、報告いたします。

また、後見人候補者たる〇〇に、受任の意思があり、住所変更はありません。

預入財産及び定期送金額の設定理由

預入財産:後見事務の必要経費及び本人に関する臨時・特別の出費に柔軟に対応するには、

後見人の手元に200万円以上残す必要があると考えられるから。

定期送金額:出費が多い月でも対応できるようにするため。

指示書記載事項

金融機関名:店名は不要

預入財産:後見人が手もとで管理する金額が200~300万になるように設定

定期送金額:月々減少がみこまれる額(後見人が第三者である場合、報酬として+月2万円)

口座開設

報告書を家裁へ送付してから指示書が届くまで10日もかかりませんでした。

指示書が届いてから、信金店舗へゆき、書類の事前に確認してもらいました。

必要書類

・後見登記事項証明書(発行日から6か月以内)
・後見人の身分証
・被後見人の身分証(写真つきのもの1点 写真がない身分証は2点 健康保険証+介護保険証等)
・後見人の印鑑証明書
・後見人の実印
・後見人の届出印(実印でも可)

契約締結

1週間後くらいに再び店へゆき、口座を開設します。

この日はまず郵便局へゆき、信金店舗の別段預金へ送金してもらい、
(高額なので、身分証の提示を求められました)

信金への着金を確認してから店舗へゆきます。

開設時、指示書の原本を金融機関に提出します。

報酬額

この事件は、申立人が後見人候補者にあげた後見人予定者(行政書士)へのリレー案件であったので、

口座開設後、速やかに辞任の申立をしました。

報酬額は、28万500円

報酬は11で割り切れることが多いのですが、これはどうやって算出したんやろ?

500円って……⁉

後見支援制度の利用を断念した場合は、その半分ももらえないと思います。

後見人としては、可能であれば、何とか頑張って契約を締結したいところです。

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