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後見事務終了時の手続

寝屋川市の司法書士 渡辺です。

被後見人(本人)が死亡すれば、後見人は忙しくなります。

大阪家裁では、後見人は、本人死亡から4か月以内に最終報告を求められています。

そこで、家裁とのやり取りを中心に、死亡後に後見人が行うことをまとめました。

記載通りにならないことも多々あるかもしれませんが……。

相続 後見 お気軽にご相談ください。

寝屋川市 香里園 あいゆう司法書士事務所

大阪家裁後見センター 書式ダウンロード

目次

本人生存中に行っておくこと

本人危篤の知らせを受けたら、ある程度まとまった金額(50万円~100万円)を預金から引きだしておきます。

*本人危篤時あるいは死亡時に某ウイルスに感染したり、濃厚接触者になってしまった場合は、

死亡後に引き出さざるを得ないのですが、家裁に事情を説明した方がよいでしょう。

本人死亡直後にすること

相続人への連絡

相続人に連絡し、葬儀や死亡届の提出を誰がするかを確認します。

後見人がする場合は、直葬で骨を拾わない旨をしっかり主張しましょう。

家庭裁判所への連絡

まず、家裁へ電話して本人死亡の旨を知らせます。

連絡票に、死亡診断書の写しまたは戸籍謄本を添付して提出するよういわれます(Fax可)。

注意:戸籍謄本(除籍謄本)は、死亡後10日経過しないと作成されない。

詳細は、以下のリンク先をご参照ください。

遺体の引き取り

被後見人の遺体の引き取りを親族が拒んだ場合、

後見人であった人が遺体を引き取らなければならないのでしょうか?

後見人には、遺体引き取りの義務はありません。

では、引き取り手がない遺体は、誰に引き取る義務があるのでしょうか?

墓地、埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)の9条に、

死体の埋火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、

死亡地の市町村長(特別区にあっては区長)が行う

と、あります。

ですから、例えば、枚方市に住民登録されていた人であっても、大阪市内の病院で死亡したら、

大阪市長に遺体引き取り義務があるのです。とはいえ、

「はやく遺体を引き取ってください」

って病院から電話で言われて、

「法では市長に引き取り義務があるんやさかい、市長に言ってください」

って返しても、病院の人が、いちいち市長に

「遺体を引き取ってほしい」

なんていわないですよね。

後見人に遺体の引き取りを要求するのは、後見人に対する方がいいやすいからなのでしょう。

それに応じて遺体を引き取っているのは、事務管理あるいは応急処分義務としてやむなく行っているだけです。

葬儀は、後見人がすることではないのです。

火葬について

火葬は、家裁の許可を得れば、後見人でもできます(民法873条の2第3号)。

しかし、実務では、応急処分義務として行う場合が多いようです。

(家裁からは、いちいち許可を受けなくてよい、といわれました。)

葬儀の費用

後見人が行った場合は、本人の財産から支出すればよいでしょう(後見人が自腹を切るべからず)。

親族が行った場合は、親族に負担してもらいます。

ただし、相続人全員の同意がある場合は、本人の財産から支出してもかまいません。

死亡時3点セットの提出

家裁に死亡診断書の写し等を提出後、1週間ほどで家裁から封書が届きます。

そこには、今後すべき事務についての指示が記載されています。

まず、死亡時3点セットを提出します。

報酬がもらえる場合は、このときに報酬付与の申立もします。

(報告書とともにホチキスで合綴ずればよいでしょう。)

死亡時3点セットとは?

以下の3点をいいます。

①死亡時財産目録(本人の死亡時を報告基準日とした財産目録)

②死亡時までの後見等事務報告書

③裏付資料(預金通帳の写し等、財産目録の裏付けとなる資料)

通常の報告とのちがい

死亡時3点セットは、通常の報告時に提出するものと同じものを、死亡時点を基準時として作成します。

債務の支払

施設利用料や病院費用等の債務については、支払うべきではない、というのが原則です。

死人が金を払うのはおかしいです。それに、本人の死亡で後見人ではなくなってますしね。

が、実務では、支払っています。

この行為は、改正民法で合法になりました(民法873条の2第2号)。

手持ちの現金がある場合はらそこから支払い、不足する場合は、

家裁の許可を得て、預金から引き出すことができます(民法873条の2第3号)。

(この許可についても、家裁から、いちいち許可を受けなくてよい、といわれました。

最終報告に領収書を添付すれば問題ないと考えます。)

行政への通知

保険・年金関係の手続については、以下のリンク先をご参照ください。

後見終了の登記

後見人は、東京法務局へ後見終了の登記を申請しなければなりません。

切手代は、本人の財産から支出してもかまいません。

管理の計算

管理の計算は、本人が死亡してから2か月以内にします(民法870条)。

大阪家裁の見解では、相続人の一人に報告すればよい、とのことでした。

財産の引渡し

預金口座に全額を振り込んだ後、凍結して相続人に引き渡します。

連絡のつく相続人が一人いれば、その人に渡せば免責されます。

もちろん相続人全員に集まってもらい、その場で渡すのが理想ですが、

実際は連絡がつかない(拒否される)場合が多いですしね……

ただ、お金がもらえるとなると態度が変わる人がいるのもまた事実なので……

相続人に引継書に署名押印(認印可)してもらいます。

相続人が財産の引渡しを拒む場合

家裁に相談することになりますが、

・預金口座に全額を振り込んだ後、凍結して放置

・預金口座から全額を引き出して供託

のいずれかになるのではないでしょうか。

最終報告

相続人等に管理財産を引き渡したら、家裁に最終報告します。

提出書類

①収支報告書(死亡後)

 本人死亡時から相続人等への引継時までの全収支を記載の上、

 5万円を超える収支については裏付資料を添付します。

②引継書

 相続人等の署名押印のある引継書と引継時財産目録の2点

提出期限

本人死亡から4か月以内

雑 感

かつては、家裁は本人死亡後の後見事務については監督しなかったそうですが、

現在はどれくらい力を入れて監督されているのかわかりません。

報告書提出から2か月以上も経ってから、家裁から的外れなことをいわれたことも……。

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