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相続

死亡後にする手続

寝屋川市の司法書士 渡辺です。

本人(被後見人)が死亡すれば、後見人は忙しくなります。

その時になって慌てないよう、死亡後に役所にする手続をまとめました。

後見人の義務は、死亡時の財産を確定し、相続人に引き渡すことです。

しかし、実際は、他にやってくれる人が誰もいなくて、

後見人が以下のことをやむを得ずにせざるを得なかったりします。

相続人がすべきことでもありますので、親御さんが亡くなった場合に、

相続人がすべきこととしても参考にしていただけます。

年金を受けている方が亡くなったとき-日本年金機構

相続登記 後見 お気軽にご相談ください。

寝屋川市 香里園 あいゆう司法書士事務所

目次

死亡届の提出

誰が出すか?

もちろん、親族です。

後見人も本人の死亡届を提出できます(義務ではない)が、

親族に拒まれたら、病院長、施設長等にお願いしてみましょう。

後見人が死亡届を出す場合、登記事項証明書(原則3か月以内のもの)が必要です。

どこに出すのか?

・本人の死亡地(病院等の所在地)
・本人の本籍地
・届出人(親族等)の所在地

本人が本籍地で住所登録しているのであれば、当該市町村役場で死亡届の届出及び火葬許可申請をするのが、

手間がかからず安くすみます。

提出は使者でも可(実際は、業者がやってくれる)。

最近は、死亡を知ってから業者に依頼すれば、火葬までやってくれます。

遺族や後見人が出向く必要は、特にありません。

遺骨ももらえます(骨を拾わないという判断もアリ)。

後見人が火葬を行う場合

後見人は、家裁の許可を得て火葬をすることができます(民法873条の2 第3号)。

しかし、家裁に電話すると、

「許可を受けなくても火葬を行ってよい」

と、いわれます。

応急処分義務(民法874条・654条)があるからでしょう。

家裁もいちいち許可の申立てを受けたり、許可を出したりするのが面倒なのかもしれません。

葬儀の費用は誰が出すのか?

親族が葬儀を行った場合は、親族が費用を負担します。

葬儀費用は本人の債務ではないので、本人の財産から支払うことはできません。

後見人が行った場合は、本人の財産から支出します(自腹を切る必要ナシ)。

死亡診断書

死亡診断書は、けっこう重宝します。

病院で死亡診断書のコピーを取得した方がよいです。

家庭裁判所や年金関連の死亡通知に使えます。

親族が葬儀をしてしまったために、死亡診断書をもらい損なった場合でも、

病院に請求すれば、死亡診断書のコピーを入手できます。

1枚30円くらいします(昭和末の値段⁉)が、公文書よりは安いでしょう。

病院でもらう死亡診断書のコピーには医師の押印がない場合がありますが、なくても問題ありません。

家庭裁判所への連絡

「年月日、本人が死亡しました。死亡診断書(または、除籍謄本)を添付します。」

と、連絡票に記載し、家裁にFax送信します(郵送しなくてよい)。

4、5日すれば、以後の手続の指示が封書で来ます(電話ではない)。

役所への死亡通知

以下の担当部署に本人の死亡を通知しておいた方がよいと思います。
(後見人に通知義務はないが、精算が発生する可能性があるから)

・健康保険(後期高齢者医療等)
・介護保険
・年金(国民年金、厚生年金、企業年金等)
・障害

※こんなことをしなくてもよいようにするために、マイナンバー制度が導入されたと思うのですが、
通知しないと把握できていないようなので、マイナンバーがまったく機能していないように想われます。

郵便物を止める

保険等に関する書類の送付先を後見人の事務所等に変更していたら、送付先廃止申請書を出した方がよいです。

そうしないと、いつまでも郵便物が来るかもしれません(対応しなければよいだけかもしれませんが……)。

年 金

死後に振り込まれた年金は返さなければなりませんが、

死亡直後に年金が振り込まれたら、返納しなければならないのでしょうか?

問い合わせ先

基礎年金のみの受給者→市町村役場

厚生年金受給者→管轄の年金事務所

(企業年金受給者→給付機関)

手 続

年金機構にマイナンバーが収録されていれば、

死亡届を書いて出すだけでかまいません(何も添付しなくてよい)が、なければ、

住民票除票
戸籍抄本
死亡診断書(これだけは、コピー可)

のいずれかを添付します。

そもそもマイナンバー管理されているはずなので、(法律上は)

7日内に市町村役場へ死亡届を出せば、年金機構に届け出なくてもよいのでは……

年金手帳は返すのか?

年金機構に返すのは、年金証書です。

年金手帳は、返還不要(2022年4月1日以降は発行されない)

死後に振り込まれた年金の返納

死亡後に故人に振り込まれた年金は、返納しなければなりません。

前年12月・ 1月分  →2月15日
   2月・ 3月分  →4月15日
   4月・ 5月分  →6月15日
   6月・ 7月分  →8月15日
   8月・ 9月分  →10月15日
  10月・11月分 →12月15日

にそれぞれ振り込まれます。

例えば、2月1日に死亡した人の場合、4月15日に振り込まれる2月分までは年金を受け取る権利があります。

この場合、死亡後の2月15日と4月15日に故人の口座に振り込まれた年金を返納してから、

受給権者が未支給年金として受給することになります(かったるいですね)。

また、2月15日ないし4月15日までに口座を凍結した場合は振り込みができないので、未支給年金になります。

成年後見人が被後見人の死後に年金の振り込みがあるのをみつけて、ただちに返納を申し出たとしても、

返納を請求されるまでに2か月以上かかり、その間に財産を相続人に引き渡していることが多いでしょうから、

成年後見人が返納することはあまりないのではないでしょうか。

市町村役場へ返すもの

身分証になるようなものは、返却の対象になります。

保険証や印鑑登録証は市役所まで行かなくても、出張所へ返却できる場合もあります。

健康保険

後期高齢者医療保険証

介護保険

介護保険被保険者証

障 害

身体障害者手帳

印鑑登録

印鑑登録証

印鑑登録証には記名人が死亡したら返却するよう記されていますが、持っていったら、

「持っておきますか?」

と、きかれたので、放っておいてもよいのかもしれません……

補 遺

死亡後に役所にする手続をまとめましたが、いかがでしょうか?

ご覧の通り、死亡後に動き始めても十分対応できます(死後でなければ、動けない)。

以上のことは、後見人もすることができるというだけで、しなければならないわけではありません。

従って、他にできる方がもしいればお任せしてもよいように思います。

後見人がすべきことを他の方に理解されていない、といつも感じます。

後見人だと何でもできると思われて、いろいろ要求されますが、実はできることはごく限られているんです。

そのあたりの啓発も必要なのかもしれませんね。

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