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相続

How To おいめいの相続放棄 (1) 誤解されがちな「放棄」の真実

ある日突然、役所から封書が届き、

これまで交流が全くなかった叔父の相続人であることを知らされて、

「固定資産税を払って下さい」

といわれたら、どうなさいますか?

従容と応じますか?それとも、無視しますか?

相続 登記 終活 お任せください!

寝屋川市 香里園 あいゆう司法書士事務所

相続の放棄の申述|裁判所

目次

事 例

「相続人代表者の届け出についてって紙がきて、不動産を売りたいんやけど」

あるとき、そんなご相談をいただきました。

お会いして確認させていただいたころ、

役場から「相続人代表者の届け出について」という文書がきて、

それで自分が相続人であることを知ったそうです。

(不動産を相続して売却したい、ということやな)

そう思いながら(苗字が違うから、母方の叔父かな?と思って)、

「おじさんですか?」

って被相続人との続柄を訊いたら、

「わからん」

「……⁈」

(お母さんの旧姓を知らないなんて人もいるんですね、本籍を知らない人は多いですが……)

不動産の価格は些少で、登記簿を閲覧してみると、抵当権が――

(これは、相続したらあかんやつや!)

いわゆる”負”動産というものですね。

ということで、相続放棄も考えてもらうよう話しました。

文書の日付をみると、死亡から1年くらい経っていました。

(この場合は、直系卑属(子や孫)が相続放棄したのではないか、と疑った方がよいと思います。)

そんな経緯ではじめた、おいめいの相続放棄の手続について説明します。

「放棄」とは?

一般の方が使う「放棄」は、だいたいの場合、法律用語の「放棄」とは違います。

一般の方は、不動産等特定の財産を相続人全員の同意(遺産分割協議)で相続しない、

という意味で「放棄」を使われるケースが多いと思います。

これでは、たとえ相続人全員が署名し、実印を捺した遺産分割協議書を作成してあったとしても、

(そして、それが公正証書であったとしても、)

「相続放棄したさかい」

と、第三者に主張することができません。

一方、法律用語の「放棄」すなわち「相続放棄」とは、

相続の放棄をしようとする相続人が家庭裁判所(以下、家裁)に申し立ててするものです(民法938条)。

ここまですれば、第三者に「相続放棄したさかい」と、主張することができます。

裁判所に泣きついてまでして「放棄したい」言うんやったら許したるわ、っていったところでしょうか。

相続放棄の流れ

相続放棄の手続の大まかな流れを示します(まずは、管轄の家裁へ提出物等をお問い合わせを)。

戸籍等の収集
  ↓
相続放棄申述書の作成
  ↓
相続放棄申述書及び戸籍等を家裁に提出(郵送可、手数料 800円、収入印紙による。)
  ↓
(家裁から別途書類の提出を求められた場合は、適宜対応する。)
  ↓
家裁から照会書・回答書が送付されてきたら、回答書に記入して返送する。
  ↓
問題なければ、家裁から相続放棄受理通知書が送付されてくる。

相続放棄の手続は書面審査になりますから、裁判所へ出頭する必要はありません。

相続放棄の申述

相続放棄は、いつでも、どこの裁判所に対してもできるわけではありません。

期 間

相続放棄の申述は、相続開始を知ってから3か月以内に家裁に対してしなければなりません
(民法915条第1項)。

ここで、「相続開始を知っ」たとき、というのは、

自分が相続人であると知り、かつ相続財産(の一部でも)があることを認識した時点をいうとされています。

自分が相続人であると知ったとしても、相続財産の存在を認識していなければ、

承認or放棄の判断のしようがないですからね。

提出先

被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ相続放棄申述書という書類を提出します。

(放棄をする方の住所地の家裁ではありません。)

相続放棄申述書は、郵送で提出することができます。

必要物

・相続放棄申述書

・被相続人の住民票除票または戸籍附票

・申述人(放棄をする方)の戸籍謄本

・被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本

・被相続人の直系尊属(父母・祖父母)の死亡の記載のある戸籍謄本

・被代襲者(本来の相続人、上記の事例では申述人の父or母)の死亡の記載のある戸籍謄本

(※ 裁判所によって若干異なるようですので、申述される前に、管轄の家裁にご確認を!)

法務局へ相続登記の申請をする場合に比べ、必要となる戸籍の通数は少ないです。

被相続人の戸籍は、申述人が配偶者や子の場合は、死亡の記載のあるものだけでよいのですが、

兄弟姉妹やおいめいの場合は、一生分が必要です。

兄弟姉妹の場合、一生分集めななければ名前が出てきませんから。

被相続人の子孫の戸籍

被相続人の直系卑属(子孫)の戸籍謄本は必要ないのでしょうか?

おいめいは、第三順位相続人(被相続人の兄弟姉妹)の代襲者になります。

それが申述人になるということは、おそらく第一順位相続人(被相続人の配偶者及び子孫)が、

すでに相続を放棄してしまっている可能性が高いです。

つまり、家裁に子孫の戸籍があるので、重ねて取得する必要はない、ということではないでしょうか。

(ただし、被相続人の子孫が死亡している場合は、戸籍が必要と思います。)

戸籍等の職権取得

司法書士は、相続放棄を申述するために、戸籍等を職権で請求することができます。

この場合、国の機関たる裁判所に提出するので、職務上請求書(1号様式)を用います。

利用目的の種別は2で、

業務の種類は、「裁判所提出書類の作成」

具体的事由は、「親族○●の相続放棄申立の添付資料として、□△家庭裁判所に提出」

のように記載します。

相続放棄申述書

申述書の様式は、裁判所のサイトからダウンロードできます。

空欄を埋めてゆくのですが、手書きでも、ワープロで打ち込んだものでもOKです。

うちは、申述人の記名押印欄以外はそうしております。

なお、複数枚になりますが、相続放棄申述書に割印をする必要はありません。

また、1枚目に収入印紙800円分の貼付をお忘れなく‼

(私は収入印紙を貼るのを忘れたままで申述書を郵便局に出してしまったことがあるので、

提出前に収入印紙を貼付したかどうか念入りに再確認するようにしております。)

申述書の書き方につきましては、以下をご参照ください。

ご自身で手続されるのが不安な方へ

司法書士はお客様の代わりに裁判所提出書類を作成し、提出することができます。

さらに、相続放棄に必要な戸籍を取得することもできます。

ですから、安心して司法書士におまかせください!

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