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相続

遺言内容を遺産分割協議で変えることができるのか?

寝屋川市の司法書士 渡辺です。

早速ですが、みなさんは遠方へむかうなら何で行きますか?

去年、仕事で電車に乗って姫路へ行ったことがありました。

大阪駅へは、乗る予定の新快速の到着時間の10分くらい前に着きました。

ちょうどその時、快速がホームに滑り込んできました。

後続の新快速には、”遅れ5分”の表示がありました。

快速に乗るか、あとの新快速を待つか――。

ふだんなら新快速を気長に待つのですが、このとき、

たまたまネットでみた日本電産の永守重信会長の記事をふと思い出して、快速に乗りました。

そこには、

”あとから来る急行を待つのではなく、先に出る各駅停車に乗れ”

と、ありました。

急行が遅れたり、満員で乗れなかったりする「リスク」を避けるため、

少しでも目的地に近づいておくべきだ、というのです。

要は、追いつかれるところで乗り換えればいいんです。

――これで、カリスマ経営者の思考に少し近づけたかな。

そう思った矢先、電車が急停車しました。

宝塚線の架線にビニール袋がひっかかったとかで、先行電車が全部止まったそうです。

それから、電車は少し進んでは長く止まっての繰り返し。

そうこうしているうちに、なんと新快速に抜かれてしまいました。

もう、絶望しかありませんでしたね。

新快速は府県境の橋梁で抑止がかかったため、快速が尼崎に先着し、乗りかえできました。

15分遅れで"あま"を出た新快速は、飛ばしに飛ばし、遅れを半分縮めて姫路に着きました。

でも、この所要時間なら、直特の方がましでしたね。

そんな体験をして以来、永守氏の記事は見なくなりました(笑)。

さて、今回は、

遺言内容を遺産分割協議で変えることができるのか?

について記します。

相続 登記 ご相談承ります。

寝屋川市 香里園 あいゆう司法書士事務所

「後から来る急行電車」と「先に出る普通電車」、カリスマ経営者が迷わず選ぶのはどちらか?|プレジデントオンライン

目次

具体的事例

ある不動産の所有権登記名義をお持ちのAさんが亡くなりました。

相続人は、配偶者のBさんとお子さんのCさんとDさんの3人です。

Aさんには、遺言がありました。

その内容は、不動産をCさんとDさんに2分の1ずつ相続させる、というものです。

それに対して、不動産を取得できないBさんが異議を唱えたとしても、

遺言通り相続しなければならないのでしょうか?

結 論

相続人全員、すなわちBさん、Cさん、Dさんの同意があれば、

遺言書の内容と異なる遺産の分割をすることができます。

例えば、遺言に従えば不動産を全く相続できないBさんであっても、

Cさん、Dさんと同意すれば、不動産を全部相続することも可能なのです。

遺言者の意思は尊重されるべきですが、残された相続人を遺言でしばりつけるわけにはいきませんし、

相続人全員の同意があれば、異議を唱える人がいませんからね。

ただし、例外があります。

例 外

相続人全員が遺言の内容とは異なる方法で遺産を分割することに同意したとしても、

遺言執行者の定めがある場合

遺言で遺産分割を禁止されている場合

は、遺言の内容をくつがえすことはできません(後者には、再例外なし)。

再例外

遺言執行者の定めがある場合、遺言内容と異なる遺産分割を行うときは、

遺言執行者を協議に加えたうえで成立させる必要があります。

相続人全員が同意しているのに、遺言執行者が反対するのは考えにくいですが。

登記実務

原 則

遺言に忠実に登記を申請するのであれば、

①Aさんから相続を原因としてCさんとDさんに持分2分の1ずつ移転する登記

②C ・DからBさんへ贈与を原因とする共有者全員持分全部移転登記

のようになりますが、それよりも簡便で安価にすますことができます。

実務では

はじめから遺言がなく、遺産分割協議で決めた体にします。

要するに、遺言書を法務局に出さなければよいのです。

法務局へは遺産分割協議書だけを出して、

相続を原因とするAさんからBさんへの所有権移転登記を申請すればよいのです。

えっ、おかしくはないかって?

相続人全員が同意したことで、遺産分割協議が遺言に優先するので、問題ありません。

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