お早目に相続登記をお勧めするケース そのまま放っておくと……
もしかすると、亡くなった親御様のまま放っておいてませんか?
そんな場合、直ちに建物を売ったり、抵当に入れたりすることはもちろん、抵当権を抹消したりすることもできません。
まずは、相続登記を申請していただく必要があります。
現在、相続登記は任意ですが、罰せられないからといっていつまでも放っておくと、いつの間にか住むところを失ってしまうようなことにもなりかねません。
どんな場合に、相続登記を急いだ方がよいのでしょうか?
目次
- ○ 相続登記は、義務なのか?
- ○ お早目に相続登記をお勧めするケース
- ・具体的事例
- ・懸念されること
- ・トラブルを回避するには
- ・他に気をつけること
- ○ まとめ
相続登記は、義務なのか?
お住まいの建物の所有権の登記名義は、どなたのものかご存知ですか?
もしかすると、亡くなった親御様のまま放っておいてませんか?
あるいは、御祖父母様なんてことも。
そんな場合、直ちに建物を売ったり、抵当に入れたり、抵当権を抹消したりすることはできません。
まずは、相続登記を申請していただく必要があります。
相続登記を義務化にする、というニュースを最近見かけますが、現在は、相続登記は任意であり、登記名義人が亡くなってから何十年も放っておかれたまま、というケースも珍しくありません。
ところが、そのままにしておいても別に罰せられないからといっていつまでも相続登記をせずに放っておくと、突然、何の前ぶれもなく、見ず知らずの人からお住まいのご住居からの立ち退きを迫られてしまう、なんてことにもなりかねません。
お早目に相続登記の申請をお勧めするケースは、不動産を売ったり、抵当に入れたり、抵当権を抹消したりする場合以外にもございます。
お早目に相続登記をお勧めするケース
どんな場合に、相続登記を急いだ方がよいのでしょうか?
具体的な事例をお示しします。
具体的事例
A市のA不動産とB市のB不動産の所有権の登記名義が、5年ほど前に亡くなられたZさんのままになっています。Zさんの相続人は、長女のXさんと二女のYさんの2人。現在、A不動産にXさんが居住されており、B不動産は誰も住んでおらず、Xさんが月1,2回程度様子見がてら掃除に行く程度。Yさんはご結婚されて、C市にお住まいです。
Yさんからは、
「B不動産は私が相続して、A不動産はお姉ちゃんが相続しよう」
と、持ちかけられましたが、Xさんは、
「どちらも2人で共有したい」
とのご意向です。
「どちらの不動産にも小さいころから思い入れがあるさかい、今後も現状を維持したいと思っているんやけど、どうやろうか」
と、Xさんから相談をいただきました。
この場合、どうお答えすればよろしいでしょうか。
懸念されること
一番問題になるのは、Xさんがお住まいのA不動産が共有になることです。
共有名義にしてしまうと、自分の住居の一部が他人のものになってしまいます。
Xさんにとって、これは大変不自由になるのではないでしょうか。
名義が兄弟姉妹共有である間は問題ないにしても、お互いに相続が発生し、Yさんのだんな様やお子様方らが一部であってもXさんのご住居の所有権をお持ちになられてしまえば、Xさん(及びそのご家族)はご自身のお住まいの所有権を自分でコントロールできなくなってしまいます。
Yさんはもちろん、Yさんのだんな様やお子様方にとっては、ご自身のお住まいではないA不動産がどうなろうと痛くも痒くもありません。いつの間にか気が変わり、Xさんに断りもなくご自身の持分を他人に売却してしまうかもしれません。持分だけでは不動産の売却が難しいとはいえ、最近は不動産の共有持分のみの売却をすると宣伝する業者が増えてきているみたいですから。
要するに、Xさんは現在、不利な状況にあるのです。
このまま一日でも相続登記をせずに放っておけばおくほど、それだけますます不利になってゆきます。
トラブルを回避するには
Xさんの利益についていえば、
一刻でも早くYさんがおっしゃっておられた通り、
――A不動産をXさんが、B不動産をYさんが相続する
という登記を申請なさるべきです。
Xさんにまずしていただくことは、
――Yさんに遺産分割協議書へ実印を捺してもらうこと
に尽きます。
方針が決まれば、直ちに行動に移すべし‼
Yさんのもとを訪ね、以前にYさんからその件につき申し出があったのに、その通りにしなかったことを詫びて、
「その後よく考えてみたら、やっぱりあなたの言ってた通りやったわ」
と、とにかく下手に出てYさんの機嫌を取り、(土下座してでも)遺産分割協議書に実印を捺してもらうようにもってゆきましょう。
Yさんが遺産分割協議書にご実印を捺されたらひと安心。
Yさんの印鑑証明書も取り寄せておいてくださいね。
他に気をつけること
もうひとつ注意が必要なのは、相続が開始してからの年数です。
Zさんが亡くなってから5年が経過すると、住民票の除票が取得できない可能性が高いです。
この場合、Zさんの本籍地に戸籍の附票を請求することになります。
(戸籍の附票も取得できない場合は、悩まず、司法書士にご相談を)
まとめ
いかがでしたか。
・ご自身がお住まいの建物についての相続
・兄弟で相続する場合
・ご兄弟がお住まいの住居が、相続財産に含まれない
そんな場合は、お早目に相続登記をされることをお勧めいたします。
このまま放っておけばおくほど、ご自身やご家族が不利になってしまいます。
貴方のお住まいも上記事例と多少似たような状況になっていませんでしょうか?
ご自身やご家族の権利を守るためにも、いま一度ご確認願います。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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