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中国史人物伝

善は衆の主 苦悶の宰相 欒書(欒武子)(春秋 晋)(4) 不戦条約

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晋の宰相の欒書は、名家の趙氏の力を削ぎ、国政を無難に運営していた。

だが、外交において、諸侯を威力で抑えつけようとしたため、

盟主国としての晋の威信が揺らぎ、諸侯の反発を招いてしまった。

難しい外交を強いられるなか、景公が亡くなり、厲公が即位した。

中国史人物伝シリーズ

目次

弭兵の盟

睅目皤腹

当時、中原において、
――睅目皤腹(『春秋左氏伝』宣公二年)。
と、揶揄された宰相がいた。
宋の華元である。
かれは出目で出腹で髭だらけと外見を揶揄された一方、戦いを好まず礼を重んじたため、君臣から信頼され、
三十年以上にわたり政権を維持することができた。
そんな華元と、欒書は親しくつきあった。
「われは、楚の令尹(首相)とも親しくつきあっております」
つねづねそう語っていた華元を、欒書は同じ宰相として信頼し、かつ尊敬もしていた。
おりしも、晋楚両国のあいだで使者が往来し、和平の気運が高まっていた。

和 平

厲公元年(紀元前五八〇年)の歳末に、晋を訪れてきた華元から、
「明年、弊邑で楚と盟っていただけませんか。楚の了解は得ております」
と、提案を受けると、欒書は、
「よろしゅうたのんます」
と、二つ返事で応じた。
翌年の五月に、士燮が宋を訪れ、華元の周旋をうけて楚の公子罷と盟った。
晋楚の和議が成立したという報せは、またたくまに天下に伝わり、
厲公は晋を訪れてきた魯の成公や衛の定公と瑣沢で会盟した。
そして、厲公は秋に郤至を楚に遣わして共王と会盟させると、
十二月に晋を聘問してきた楚の公子罷と盟いを交わした。
こうして、半世紀以上にわたって天下の覇権を競い合ってきた晋楚二大国の間に、和平が実現した。
――これで、中原から戦いがなくなれば。
そう望んだのは、欒書ばかりではなかったろう。

麻隧の戦い

秦の背信

晋が反目を続けていたのは、楚だけではない。
隣国の秦とも長く敵対関係にあった。
――諸侯との融和をはかりたい。
という方針のもと、厲公は即位直後に秦の桓公と令狐で会同をおこなうことにした。
ところが、桓公は会同の地にあらわれず、大夫を遣わすのみであったばかりか、
和約を反故にし、狄や楚を味方に引き入れて晋を攻めようと画策するありさまであった。
その後、楚との和議が成立し、南方からの脅威がなくなったため、
――秦を伐とう。
という意見が晋の朝議で大勢を占めるようになり、諸侯に援軍を要請した。

帥乗和せり

厲公三年(紀元前五七八年)四月戊午(五日)、厲公は会戦に先立ち、
呂相を秦に遣わして絶交通告をおこなった。
ほどなく、諸侯の兵が会同の地に集結した。
斉、宋、魯、衛、鄭、曹の君主がみずから兵を率いてきたほか、邾と滕の大夫も兵を率いてきた。
会同を終えると、諸侯は連合軍を形成し、西のかた秦へ侵攻した。
その主力となる晋軍を、つぎの八人の将が率いた。
中軍 将 欒書 佐 荀庚
上軍 将 士燮 佐 郤錡
下軍 将 韓厥 佐 荀罃
新軍 将 趙旃 佐 郤至
その士気高く威風堂々と進軍するさまは、
「晋の帥乗和せり。師必ず大功あらん」
と、魯の仲孫蔑が勝利を予言したほどであった。

麻隧の戦い

秦を攻めれば、楚を刺戟し、挟撃される恐れがあった。
だが、楚との和平が成立したいまとなってはその心配がない。
一方、秦は楚の援けが得られず、単独で晋を主力とする諸侯連合軍と戦わなければならない。
しかも、兵数は晋のほうが圧倒している。
晋に有利な要素ばかりがそろっており、負ける要素が見当たらない。
五月丁亥(五日)、晋軍は麻隧で秦軍と戦い、大勝した。
「追えっ――」
晋軍が敗走する秦軍を追撃して涇水を渡り、侯麗まで攻めこんだところで、
「もうここらでよかろう」
と、欒書は引き揚げ命令を出した。

曹の成公

秦と交戦している最中に、曹の宣公が陣没した。
公子欣時(子臧)が、宣公の遺骸を引き取りにきた。
その最中に、留守を預かっていた公子負芻が悪心を起こし、太子を殺して自立してしまった。
これが成公である。
「負芻を伐ちましょう」
と、諸侯から提案されたが、欒書は、
「秦との戦いで疲弊しておりますゆえ、またの機会にさせていただきたい」
と、いって、解散した。
晋は諸侯に曹討伐を呼びかけたのは、二年経ってからである。
厲公五年(紀元前五七六年)三月癸丑(十二日)に、
厲公は戚に衛、魯、鄭の君主ならびに宋の太子成、斉の国佐、邾の大夫を集めて会同をおこなった。
なんと、そこに曹の成公(負芻)があらわれた。
「捕えよ」
厲公の命で成公は捕らえられ、王都へ移送された。

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