孫への相続 障がいある子の将来の財産管理 [民事信託]
寝屋川市の司法書士 渡辺です。
四月になりました。
新年度になり、新たな環境や新たな出会いに期待を膨らませている方も多いかと存じます。
一方、年度替わりは様々な変更があるので、慣れるまで時間がかかるかもしれません。
出逢いあれば、訣れあり。
近くにある大手スポーツクラブが、来月で閉店するそうです。
利用されている方はもちろん、お子さんを通わせている保護者の方も、
「これからどないしたらええんやろ」
と、困惑されているのではないかと思います。
閉店で一番困っているのは、勤めておられる方ではないでしょうか。
急な話で自分自身この先どうなるかわからないのに、客からの苦情等に対応させられるとは
異動できればまだよいかもしれませんが、そうもいかない場合、どうすればよいのか…
去年、例のアレのせいで利用者が激減した影響はあるんでしょうね。
最近は24時間マシーンできる店が増え、風呂やサウナ付きのところは苦戦しているようです。
さて、今回は、
・お孫さんへの相続
・障がいある子どもの将来の財産管理
についてです。
以下の記事をご覧いただければ、理解しやすいです。
相続基本型
兄弟相続
相続 登記についてお困りの場合は、お気軽にご相談ください。
寝屋川市 香里園 あいゆう司法書士事務所
目次
- ○ 基本設定
- ・原 則
- ○ 相談内容及び回答
- ・相談内容
- ・回 答
- ○ 代襲相続
- ・孫が相続人になる場合
- ・相続放棄したら代襲相続できない
- ○ 改善案
- ・二段階移転
- ○ 障がいのある子への名義変更
- ・二番目の登記の原因
- ○ 障がいのある子の将来の財産管理
- ・民事信託
- ・親亡き後の障碍者への保障
基本設定
今回の相談者はAさんで、
Aさんからみた関係でいえば、
父 X
弟 B
子 C
という家族構成(Xさんの配偶者(=A・Bの母)は、Xさんより前に死去)で、
亡くなったXさん名義の不動産の名義変更(相続登記)をしてほしい
と、Aさんから相談されました。
なお、Xさんには遺言がありませんでした。
原 則
AさんとBさんがそれぞれ2分の1ずつ相続することになります。
遺産分割協議により、どちらかお1人が全部相続することもできます。
相談内容及び回答
相談内容
不動産の登記名義を、Xさんから直接Cさんに変えてほしい。
回 答
できません。
Cさんは、Xさんの相続人ではないからです。
代襲相続
代襲相続とは、父母などに代わって祖父母などの財産を相続することです。
孫が相続人になる場合
孫が祖父母の相続人になるのは、代襲相続が発生した場合です。
つまり、Xさんが亡くなる前にAさんが死去しているか、Aさんが相続廃除されていれば、
代襲相続によりCさんがXさんの相続人になります。
要は、AさんがいるからCさんは相続人になれません。
(実務では、Aさんになかなか理解してもらえなかったりします)
相続廃除については、以下の記事をご覧ください。
相続放棄したら代襲相続できない
「じゃあ、Aさんが相続放棄すればいいんじゃないの?」
って思われる方もいるかもしれません。
そうすると、AさんばかりかCさんにも財産が渡りません。
相続放棄をすれば、その相続人にはもとから相続権がなかった扱いになります。
代襲相続は、あくまで孫(C)の親である子(A)に相続権があることが前提条件なのです。
Aさんに相続権がない以上、Cさんに代襲相続されることはありません。
改善案
登記名義をCさんに変えることはできます。
二段階移転
まず、Xさんの登記名義をAさんに変える相続登記をして、
次に、贈与等でCさんの名義に変える移転登記をするのです。
Xさんから直接Cさんに登記名義を変えることができないので、
X→A→Cという二段階の所有権移転登記を申請することになります。
障がいのある子への名義変更
「登記名義を、Xさんから直接Cさんに変えてほしい」
Aさんがそうおっしゃるのは、Cさんが障碍者であるから、というケースがあります。
Bさんも、
「障がいのあるCさんが全部継ぐのであればいいよ」
と、譲歩してくれているらしいです。
Aさんの話では、
「Bさんは自分の持分までもAさんが相続するのは許さない」
とのことです。
さきに述べたように、今回のケースでは、Aさんへの相続登記をしない限り、Cさん名義にできません。
一旦Aさんを経由する必要があることをBさんがご承知いただければ、登記名義をCさんに変更できます。
二番目の登記の原因
AさんからCさんへの移転登記の登記原因を何にするかは、税金との関係で決めるのがよいでしょう。
障がいのある子の将来の財産管理
自分の死後、障がいのある子の生活や財産管理が心配なので、
子の将来の生活を安定させるために自分の財産を使いたい。
そんな場合に、どんな制度を利用すればよいでしょうか?
民事信託
不動産などの財産を管理する方法は、
"売買、贈与、代理"
などが主でしたが、現在は、
"民事信託"
という制度も利用いただけます。
民事信託は、新しい財産管理・財産承継のしくみです。
民事信託を利用すれば、これまでできなかったことができるようになり、
高齢者や障がいをお持ちの方などの様々な悩みの解決に役立ちます。
民事信託については、以下をご覧ください。
親亡き後の障碍者への保障
民事信託には、障碍者を対象とする
障害者支援信託
がございます。
委託者:障がいをもつ子の親
受益者:親と障がいをもつ子
障害者支援信託を利用すれば、親が亡くなった後も障がいをもつ子が確実に支援を受けることができます。
障碍者のために財産を使う場合は、税制優遇がございます。
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