登記申請と同時にする検索用情報の申出(同時申出)に関するQ&A
すっかり暑くなってしまいましたね。
世間は万博の話題で持ち切りですが、
業界では4月21日にはじまった検索用情報の申出がホットな話題となっております。
ただし、現在のところ、まだ情報が錯綜しているような感じがしますので、
これから司法書士が相続登記等の所有権移転登記申請と同時に検索用情報を申し出る際に
不明点になりそうな事項について、現時点でわかったことを整理してみます。
ここまで明確になれば、問題なく対応できると思います。
相続 抵当権設定・抹消 ほか不動産・会社法人登記 のことなら
寝屋川市 香里園 あいゆう司法書士事務所
法務省:検索用情報の申出について
法務省:検索用情報の申出に関するQ&A
目次
- ○ 検索用情報の申出は拒否できるのか?
- ○ 法人は申出すべきか?
- ○ 振り仮名を証明する書類がないとき
- ○ メールアドレスがないとき
- ○ 申し出た検索用情報の内容は、公示されるのか?
- ○ 委任状に検索用情報の申出に関する記載が必要か?
- ○ 住所変更登記の申請と検索用情報の申出を同時にできるのか?
検索用情報の申出は拒否できるのか?
検索用情報の申出は、実質上義務です(不登規第158条の39第1項)。
その観点からすると、検索用情報を申し出ないという選択肢はないはずなのですが、
申請情報の内容等から申出を拒否する意思が明らかである場合
(「検索用情報の申出はしない」旨が申請情報の内容とされている場合等)
には、登記官が登記を実行して差し支えないものとされています。
ただし、申出拒否が通用するのは、書面申請のみのようです。
オンライン申請の場合、必要事項に記入漏れがあればエラーとなり、先に進めない仕様になっているようです。
法人は申出すべきか?
検索用情報を申し出る必要があるのは、
所有権の登記名義人が国内に住所を有する自然人である場合に限られます。
よって、法人は検索用情報を申し出る必要はございません。
法人の場合は、法務局の法人登記部門が本店移転登記を入れれば、
会社法人等番号で不動産登記部門にリンクされ、職権で住所変更登記を入れることが可能なのでしょう。
(それなら、なぜ今までしなかったのか、という声もありそうですが)
振り仮名を証明する書類がないとき
住民票に振り仮名の記載があれば問題ないのですが、住民票に振り仮名がない市町村もあります。
この場合、添付書類は不要です。
上申書のような記載の真正性を担保するような書類も要りません。
ここだけは、”性善説”にせざるを得なかった?
メールアドレスがないとき
メールアドレスがない場合は、
オンライン申請→「その他事項欄」に「登記名義人○○につきメールアドレスなし」のように入力
書 面 申 請 → 権利者のメールアドレス欄に「なし」と記載
して申出します。
なお、メールアドレスの申出がないことを理由に、登記の申請が却下されることはありません。
(そもそも、検索用情報同時申出に却下の定めがない。)
申し出た検索用情報の内容は、公示されるのか?
登記簿には、権利者の氏名及び住所が公示され、それ以外の情報は公示されません。
申し出た検索用情報は法務局のシステム内部に記録され、
氏名(振り仮名含む)、住所及び生年月日は、住基ネットに住民票情報を照会する際に
メールアドレスは、住所や氏名の変更情報取得時に職権で変更登記をしてよいか意思確認をする際に
使用されます。
委任状に検索用情報の申出に関する記載が必要か?
検索用情報同時申出において、同時に行う登記申請を司法書士が行う場合、
委任状に登記申請に関する委任の記載があればよく、検索用情報の申出に関する記載は不要
ということで、登記の委任状は従前通りの文面で何ら問題ありません。
住所変更登記の申請と検索用情報の申出を同時にできるのか?
できません。
同時申出は、新たに不動産の所有者になる方のみができる制度になります。
すでに不動産の登記名義をお持ちの方が住所変更登記を申請される場合、
検索用情報の申出は別にしていただくことになります(単独申出)。
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