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登記簿上の地目が田、現況が道路敷で非課税の土地は相続登記も非課税になるのか?

寝屋川市の司法書士 渡辺です。

寝屋川市内の土地3筆及び建物の相続登記手続きをさせていただく際に、

相続人様から最新年度の固定資産税納税通知書をお借りして、

課税明細書を拝見しましたところ、

1筆の土地が道路敷で非課税と記されておりました。

固定資産税が非課税であっても、登記手続きに関しては原則課税対象となります。

こういったケースでどうしたらよいかの経験はありますが、

法令に規定がない事案でもあるので、管轄の法務局に電話をかけて確認したところ、

意外な回答に、おもわず耳を疑ってしまいました。

よくある事案ではないかもしれないので、情報公開させていただきます。

相続登記でお悩みなら

寝屋川市 香里園 あいゆう司法書士事務所

相続登記が非課税になるケース

相続登記の登録免許税の免税措置について|法務局

目次

意外な回答

法務局の回答は、

「建物の敷地にあたる他の土地も一緒に申請するのであれば、

そちら(司法書士)で隣接地を決めて評価額を算出してよい」

と、いうものでした。

これまでの体験から、

”市役所へ行け”

と言われるとばかり思っていたので、この指示は想定になかったですね。

このような場合、多くは法務局が代替地を指定していましたが、

(もっとも、寝屋川市や交野市の場合は、市が近隣地の評価額を出してくれます。)

司法書士が勝手に決めてよいといわれたのは、さすがに今まで一度もありませんでした。

「公図は見ましたか?」

「いえ」

「公図で隣接地を確認して、その評価額を使って算出すればよいです。

ただ、他との兼ね合いもあるので、あまりにも安いというのは困りますが」

「他(の土地の価格)と比べてどうかというのは、わかりかねますが」

「公図は、こちら(法務局)で確認します」

ここまでいわれたら、他の2筆から1筆を択んでやるしかないんでしょうけど、

こちらで代替地を択んで申請してから"違う"といわれると困りますので、

法務局へ相談票を出すことにしました。

相談票

相談票には自分の意見を書いてそれでよいか法務局にお伺いを立てるわけですが、

お客様との関係がありますから、課税価格が安くなる方を記しました。

記載内容は、以下の通りです。

相談要旨

相続を原因とする所有権移転登記を申請するにあたっての上記土地の課税価格計算方法

寝屋川市○○町1xx番1の土地の登記簿上の地目は田ですが、

課税明細書によれば、現況の地目が道路敷で非課税になっております。

そこで、隣接地である○○町1xx番7の土地の評価額を用いて、

当該土地の価格を下記のように算出してよろしいでしょうか。ご教示お願いいたします。

○○町1xx番7の土地の評価額は、1,500,000円

○○町1xx番7の土地の登記簿上の地積は、25m2

○○町1xx番1の土地の登記簿上の地積は、50m2

相談者意見

1,500,000/25m2= 60,000円(m2単価)

60,000円×50m2×0.3= 900,000円

よって、この土地の価格は900,000円になると考えます。

また、この場合、租税特別措置法第84条の2の3第2項により 非課税になると考えますが、

問題ありませんでしょうか。

思 惑

――固定資産税が非課税なんやさかい、相続登記も非課税にしてもらえへんやろか。

というのは図々しいかもしれませんが、特則があるなら適用するでしょう。

じつは、もう1筆の土地の評価額を用いると、土地の価格が100万円を超え、

租税特別措置法第84条の2の3第2項の適用ができなくなるんですよね。

本来であればワンコイン以下しか登録免許税に差がつかないところ、

暫定特則により、飲み代くらいの差になります。

果たして、法務局のご沙汰やいかに⁉

相談票への回答

二営業日後の夕方に、法務局から電話がありました。

「寝屋川市の土地やんな。寝屋川市は市が決めるから、市役所へ行って評価証明書をもらってくればええやん」

で片づけようとしてきた感じに思ったので、

「先週の○曜日にそちらに電話でおたずねしたら、上記のようにご指示を受けたんですよ」

と、相談票を出すに至った経緯を説明したところ、

「他の土地も一緒に申請するんやんな」

と、雰囲気が変わり、

「ほかの土地は価格が違うの?」

とも訊かれました。

そこで、もうひとつの土地だともう少し高くなることなども正直に話しました。

そうすると、

「他との兼ね合いもあるからなあ……、もう少し考えてみるわ」

という言葉をいただきました。

「また明日言うわ」

と、言われ、その日は終わりました。

まあ、どんなご沙汰になろうとも、こちらとしては、言われた通りにしなければならないんでしょうけど。

翌日、再び法務局から電話があり、

「先生のご意見の通りで結構です」

と、言われました。

「それでは、最終的には非課税でいいんですね」

「問題ありません」

満額回答でした。

“税収が変わるのでどうかな?”と思っていたのですが、

お役所(国)としては、数千円程度なら別にかまわないのかもしれませんね。

端の税金より相続登記をしてもらいたい、といったところでしょうか。

結 語

このように、登記簿上の地目が墓地以外で、現況が道路等で非課税の土地については

相続登記手数料(登録免許税)が非課税になる場合があります。

どうやら"複数の土地を一つの申請で相続登記する"というのがミソになるようです。

土地1つ建物1つなら、法務局→市役所でしょう(詳細は以下の記事を参照)。

いずれにせよ、このような場合の取り扱いについては、法令に規定がないので、

臆せずに管轄法務局に問い合わせるべきでしょう。

先輩司法書士からはいくつもの法務局の職員の武勇伝とともに、

”法務局は怖いところ”

と、よく聞きますが、このように温情対応を示してくださる場合もありますので、

疑わしき事案については正直に事情を話してお伺いをたてるのがよいかと存じます。

最後になりましたが、残業時間に本件のご対応をしていただきました職員の方々に厚く御礼申し上げます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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