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中国史人物伝

詩仙・李白が憧れた高節の処士 魯仲連(戦国時代)

「理想とする偉人がいるか」

という最近のアンケートで、「いる」と回答したのは25%にすぎなかったらしい。

詩仙と称された李白は、魯仲連を理想としたといわれる。

魯仲連は、戦国時代末期の斉の人で、高節の士として知られ、諸国を歴遊し、仕官しなかった。

官界での栄達がかなわかった李白は、

無位無官でありながら、巧みな弁舌で貴人の心を動かした魯仲連の事績に自己を重ねながら、

神仙にあこがれ、不老不死を求めたのかもしれない。

中国史人物伝シリーズ

目次

燕将に書を送る

紀元前二八四年、燕が斉を攻めて七十以上もの城を攻め取り、残るは即墨と莒のみとなった。
斉は、滅亡寸前まで追い込まれた。
だが、即墨に逃げ込んだ田単が城を守り抜いて燕軍を撃退し、奪われた諸城を取り戻すべく反攻に転じた。
その後、田単は聊城を攻めた。
しかし、一年以上経っても、死者が増えるばかりで陥とすことができなかった。
「燕の守将を説得してみましょう」
魯仲連は、書をしたためて矢に結びつけ、城内に射込んだ。
燕の守将が書状を開き、読んだ。
「あなたは、疲弊した聊城の民で斉の全軍を防いでおられます。これは墨翟の守りといってよいものです。人を喰らい合うようになっても、兵士に歯向かう気がないのは、孫臏の兵法といってよいものです。あなたの才能は天下に知れ渡りました。ここで兵力を温存したまま燕に帰るのがよいでしょう。上は王を輔けて群臣を制し、下は人民を休養させ、国政を改革して風俗を変えれば、功名を立てられましょう。燕に帰る気がおありでないのなら、斉へゆかれるとよろしい。斉で領地を授かり、富は陶侯(魏冄)や商鞅と肩を並べ、代々領主となって斉とともに長く続かせるのも一計です。よくお考えになり、どちらか一つをお選びください」
燕の将は、書を読むと戦を止め、弓袋を逆さにして聊城から去った。
(以上は『戦国策』斉策の記載であり、『史記』魯仲連鄒陽列伝では、燕の将が自刃してしまう)
こうして、斉は聊城を取り戻したのである。

戦勝に必要なもの

田単は斉の首都である臨淄を奪回し、莒から襄王を迎え入れた。
その後、田単は狄邑を攻めようとして、魯仲連に助言を求めた。
「将軍が狄を攻めても、降すことはできますまい」
魯仲連の発言に、田単は憤然とし、
「われは万乗の大国である燕を破り、斉の都を取り戻した。それなのに狄を攻めても降せないとは、
どういうことか」
と、言い捨てると、挨拶もせずに立ち去った。
田単は狄を攻めた。が、三か月が経っても勝てなかった。
――先生の申す通りだ。
田単は恐懼し、魯仲連に狄に勝てない理由を尋ねた。
「将軍が即墨におられたときは決死のご覚悟があり、士卒には生き延びる気もございませんでした。
それゆえ、燕を破ることができました。ところが、今は富貴になられ、生きる楽しみがあり、死ぬ覚悟をお持ちでない。それゆえ勝てないのです」
それを聞いて田単は奮い立ち、城中を巡回し、矢石の届く間に立ち、枹を取って太鼓を打った。
そうすると、狄を降すことができた。

義不帝秦

紀元前二六〇年、趙は長平の戦いで秦に大敗し、四十万以上の兵を失った。
秦は勢いに乗り、翌年、趙の首都である邯鄲を包囲した。
趙には、兵士にできる成人男子がほとんどおらず、とうてい抗戦できる状態ではなかった。
「援軍を要請しよう」
危急に瀕した趙は、諸国に使者を発し、救援を要請した。
各国は趙に援軍を出したものの、国境でとどまり、秦を恐れて攻撃しようとしない。
――援軍を出さずに、秦軍を撤退させることはできないか。
魏の安釐王は、客将の新垣衍を邯鄲城内に潜り込ませた。
「秦の本心は、邯鄲を攻め取ることではございません。帝号を称えたいのです。
趙が秦王を尊んで帝となされば、きっと秦は喜んで引き揚げてゆきましょう」
新垣衍は趙の宰相である平原君に面会し、そう説得した。
この時、たまたま邯鄲にいた魯仲連がそれを聞き知って、
「君のために、新垣衍を責めて帰しましょう」
と、平原君に申し出た。
平原君は、魯仲連を新垣衍に引き合わせた。
「われは、魏に趙を助けさせるつもりです」
魯仲連がそういうと、新垣衍は首をかしげ、
「われは魏人です。先生にどうやって魏に趙を助けさせることができましょうや」
と、訝しげにいった。
「魏はまだ秦が帝を称することで生じる害をご存知ないのです。ご存知になれば、魏は趙を助けましょう」
魯仲連は、秦が帝を称することで生じる害を説いた。
「秦も魏も万乗の国であり、それぞれ王号を称しています。にもかかわらず、秦が一たび戦って勝っただけで魏は秦王を帝にしようとしています。それでは、魏の大臣は小国の下僕以下の扱いにされましょう。秦が帝になれば、諸国の大臣を交替させるでしょう。秦が不肖と思う者を賢い者に替え、秦が憎む者を愛する者に替えるでしょう。秦は公女を諸侯に娶わせて魏の宮殿に住まわせましょう。そうなれば、魏王はどうして落ち着いて過ごせましょうや。そして、将軍はどうやってこれまで通りの寵愛を受けることができましょうや」
魯仲連の説述を聞いて新垣衍は、
「先生は天下の士です。われはここを去り、二度と秦を帝にしようなどとは申しません」
と、謝った。
秦将はこれを聞き、軍を五十里後退させた。
その時、魏軍が趙を援けるべく秦を攻撃したため、秦軍は撤退した。
「先生に何か報いなければならぬ」
平原君は、魯仲連に領地を授けようとした。だが、魯仲連は辞退した。
「それでは、われの気がすまぬ」
平原君は酒宴を催し、宴が酣になったときに立ち上がり、魯仲連の席まで進み、千金を贈り長寿を祝った。
「天下の士が貴ぶのは、人のために艱難を除き、紛乱を解決して褒美を受け取らないことです。
褒美をもらえば、商売になってしまいます。そんなこと、われにはできません」
魯仲連は笑いながら固辞し、平原君のもとから去った。

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