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立会決済 司法書士ならどう動く?[買主代理 下]

立会決済で買主を代理する司法書士は、立会決済でどうふるまえばよいでしょうか?

どれだけ事前準備を十全にしても、決済時には予期せぬトラブルが付きものです。

何があっても落ち着いて対応できるよう、

決済場所へ行ってから、決済時、決済終了後、登記完了後に行うことをまとめました。

重要なのは、ヒト(当事者)・モノ(不動産)・イシ(意思)の確認です。

司法書士は、職責に基づき、人・物・意思の確認をしなければなりません。

司法書士が不動産売買の取引に関与し、人・物・意思の確認をしているからこそ、

真正な権利が不動産登記簿に公示できているのです。

立会決済 司法書士ならどう動く?

基本用語篇

売主代理 上

売主代理 下

買主代理 上

目次

立会場所へ

立会場所へは、開始予定時刻の15分~30分前には到着したいですね。

出席者全員が早く集まれば、早めに始められるかもしれません。

早めに着いたとしても、他の人がみなそろっていたら慌ててしまいます。

逆に、あまりにも早く着いてしまったら、場所の用意ができていなくて、長い間待たされるかもしれませんが……

立会場所に到着したら、受付等で決済時間と買主名を告げましょう。

決済開始

名刺交換

買主や売主側司法書士等の関係者で初対面の人がいれば、名刺交換をします。

売主や売主側不動産業者、抹消金融機関の担当者との名刺交換は、しないときもあります。

立会をする理由の説明

全員そろったら、再度買主(および売主)に自己紹介し、司法書士であることを説明します。

続けて、以下のように立会をする理由の説明をします。

司法書士が不動産売買の決済に立ち会い、ヒト・モノ・イシを確認することにより、

①売主は、売買代金を買主から確実に受け取る

②買主は、担保権のない所有権を確実に取得する

③設定金融機関は、買主が取得した不動産に担保権を確実に設定する

というように、全ての方が目的を達成するためのお手伝いをし、不動産取引の安全を担保することができます。

実務では

"こんなん、憶えてるん?"

って、想われるかもしれません。

研修では、立会の始めに自己紹介をし、上記の感じで立会をする理由を説明するよう指導されます。

ところが、実際は……、

不動産業者が絡む場合は、慣れていてわかっていることもあり、このような説明なしに立会が進行することの方が多いです。

ヒトとイシの確認

司法書士は職責に基づき、ヒト(当事者)・モノ(不動産)・イシ(意思)の確認をしなければなりません。

モノの確認は事前にできますが、ヒトとイシの確認は決済時にしなければなりません。

本人確認

買主に運転免許証等の身分証明書の提示を求め、契約の当事者であることを確認します。

可能であれば、担当者に身分証明書のコピーを依頼します。
 
復代理方式の場合は、売主の本人確認もお忘れなく。 

意思確認

売買の当事者に、

"本日、○○の不動産を、売主が買主にお売りになり、買主は所有権を取得される、ということでよろしいですね。"

と、念を押します。

この件は、登記原因証明情報の記載を示しながら読み上げた方がわかりやすいかもしれません。

"こんなん、ほんまにやってるん?"

ってなると、上記と同様なのかもしれませんが……

署名押印

登記等の申請書類に買主に署名押印してもらいます。余白に捨印もいただきましょう。

登記申請者の意思確認のため、原則は署名押印してもらいます。

住民票記載の住所は、打ち出しておきます(間違いが怖いから)。

ただし、申請者が法人の場合等は、住所だけでなく名称も打ち出して記名押印することが多いです。

(つまり、捺印だけ。しかも、司法書士が捺す場合も少なくない)

書類確認

買主や売主側司法書士等から登記申請に必要な書類を受け取り、確認します。

買 主

買主からを以下の書類を事前に預かっていない場合、決済時に受け取ります。

・住民票
・印鑑証明書(設定のある場合)
・家屋証明書申請に必要な書類

買主欠席の場合等は、不動産業者から上記書類を預かることもあります。

設定金融機関

設定金融機関から事前に設定書類を預かれなかった場合は、決済時に受け取り、確認します。

売主側司法書士

売主側司法書士からは、以下の書類を預かります。

・登記識別情報または登記済証
・登記原因証明情報
・対象不動産の固定資産評価証明書(年度も確認すること!)
・売主の印鑑証明書(作成後3か月以内)
・売主の委任状(実印の印影を確認する!)
・売主側司法書士の復委任状(復代理方式の場合)
・住宅用家屋証明書(新築建物の場合にあり得る)
・未失効照会の結果(司法書士による)

特に、復代理方式の場合は、十分な確認が必要です。

また、所有権移転(保存)登記を書面による共同申請する場合で、抹消登記や名変登記も書面で申請し、抹消書類がそろっている場合は、抹消登記・名変登記の登記申請書類一式と受領印照合票も預かります。

それらの内容確認までするかどうかは司法書士によりますが、連件でまとめて登記所窓口に提出します。

融資実行

書類を確認し終えたら、金融機関の担当者に、

「必要な書類は全てそろっています」

と、声をかけ、続けて、

「決済を行っていただいて結構です」
あるいは
「実行かけていただいて結構です」

と、合図します。

すると、金融機関から買主の口座に融資金が振り込む手続きを始めます。

以上の通り、業者に進行を仕切られていたとしても、融資実行の合図をするのは、司法書士なんです‼

伝票への記入

司法書士が書類の確認をしている間、不動産業者が買主に出金伝票・振込伝票を記入してもらっています。

伝票に記入するもの

・売主に振り込む金額(売買代金の残金+固定資産税・都市計画税の日割精算金)
・司法書士に支払う報酬・登記手数料等
・媒介業者に支払う仲介手数料
・その他の精算金・振込手数料等

*振込手数料は、買主が負担するのが通常です。

上記のように別々の伝票に記入して、銀行通帳に記録を残します。

請求額が見積書より高くなる場合

決済時に、業者からFaxで受信した評価額よりも市役所等で取得した評価証明書に記載された評価額が実は高かったことに気づいた場合、どうすればよいでしょうか?

気づいたのが実行前か実行後かで対応が違ってきます。

実行前であれば、金額を訂正すればよいと思います。

問題は、実行後に気づいた場合になります。

この場合、当日は見積書記載分だけ現金で受領し、不足分は立替し、後日振り込んでもらうよう買主にお願いするのが無難な気がします。

完了後書類の確認

融資の実行と送金が完了するまで通常30分~1時間ほどかかります。決裁日が月末だと、さらに長くかかります。
 
その間、買主は不動産業者への引き渡し完了確認書に署名押印したり、売主からの引き継ぎ(マンション管理規約・使用細則の手交など)を受けたりします。

その合間をみて、司法書士は買主に登記識別情報の内容や完了後書類の発送日程等についての説明をします。

さらに、各関係者に登記完了後に引き渡しが必要な書類を確認します。

設定金融機関

・登記識別情報
・登記完了証
・完了後謄本
・抵当権設定証書

登記原因証明情報である抵当権設定証書は、原本還付処理する場合が多いと思います。

登記申請後の受領証(または受付のお知らせ)のFax送信についても確認するのがよいでしょう。

不動産業者

買主側不動産業者には、完了後謄本の写しの要否を尋ねます。

売主側司法書士

売主側司法書士にも、完了後謄本の写しの要否を確認しておきましょう。

復代理方式の場合は、売主の権利証(登記済証)を登記完了後返却してほしいかも聞いておきましょう。

返却希望の場合、その場で送料(レターパックプラス代等)を徴収します。

報酬等受領

出金・送金が完了したら、銀行担当者から買主に銀行処理済みの伝票と現金が渡されます。

その際、司法書士に報酬・登記手数料等が現金で渡されます。司法書士は金額を確認後、買主に領収書を渡します。

立会決済終了

お金をもらったら、それで終わりではありません!

売主が売買代金を受領し、鍵を引渡したら決済は終了です。

抹消がある場合は、抹消金融機関への着金確認も必要です。

共同申請で、抹消登記も書面で申請する場合は、抹消金融機関への着金を確認してから席を立ちます。

以上を確認したら、関係者に決済が無事完了した旨の報告と「本日はおめでとうございます」のような終了の挨拶をして退出します。

決済終了後

決済の最大の目的は、実行をしたその日に登記を申請することです。

家屋証明書の取得

住宅用家屋証明書の取得が可能な場合は、決済終了後に申請し、取得します。

登記申請

その日のうちに管轄法務局へ登記申請をします。

設定登記を書面申請する場合は、受領証をもらうのを忘れずに!

受領証送信

設定がある場合、(根)抵当権設定登記申請の受領証(または受付のお知らせ)を、設定金融機関へFax送信します。

登記完了後

登記が完了したら、買主、設定金融機関、売主側司法書士、不動産業者等に完了後書類を渡します。

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