外国人が役員・発起人になる場合[会社設立]
外国に住んでいる外国人も発起人になれます。
代表取締役の全員が海外に居住している外国人であっても、日本で会社を設立できます。
日本人が会社を設立する手続と何が違うのでしょうか?
株式会社設立手続の流れ
目次
- ○ 定款認証
- ・定款に使用できる言語
- ・捨てサイン
- ・サイン証明書
- ・中国人・韓国人の場合
- ・公証役場にて
- ・実質的支配者が外国人の場合
- ○ 登記申請
- ・サイン証明書
- ・本人確認証明書
- ・平取の場合
- ・印鑑提出
定款認証
外国に住んでいる外国人が日本の司法書士に定款認証手続を委任し、司法書士が代理人となって行う定款認証手続について日本人発起人と異なる点についてご説明します。
定款に使用できる言語
定款は、日本の文書です。
ですから、定款には、日本の文字である漢字、ひらがな、カタカナを使います。
ただし、例外として、商号、目的、住所は、アルファベット等日本文字でない文字を使用してもかまいません。
従って、定款に発起人として外国人の氏名を記載するときは、原則としてカタカナで表記します。
が、韓国人、中国人、台湾人等漢字文化圏内の人物の氏名は、日本の漢字で記載しても問題ありません。
捨てサイン
委任状の委任者欄に外国人発起人が氏名をサインし、余白に捨てサイン(捨印の代わり)します。
さらに、委任状と定款を編綴した綴り目に発起人が割サイン(割印の代わり)します。
サインは、イニシアルでもかまいません。
割サインする代わりに、通し番号(○/○)を記載してもかまいません。
外国では、割サインの習慣がありませんからね。
サイン証明書
委任状のサインについて、「当職の面前でサインした」旨の当該国の公的機関(領事等)または当該国の公証人の認証を受けます。
当該国の領事、公証人作成にかかるサイン証明書を提出してもかまいません。
外国語で書かれた文書には、日本語訳文をつけ、末尾に"何某 翻訳"と記載し、押印します。
日本語訳文は、私文書でかまいません。翻訳者に特段の資格は必要とされていません。
サイン証明の有効期間は3月とされますが、法務局により扱いが違うようです。
中国人・韓国人の場合
中国や韓国のように印鑑登録制度がある場合は、記名押印し、印鑑証明書を提出します。
外国語で書かれた印鑑証明書には、日本語訳文をつけます。
発起人が、中国で印鑑登録制度がある地域の人なら、氏名、印影、住所、生年月日が記載された書類を公証人が証明する方式が一般的のようです。
韓国の印鑑証明書に生年月日の記載がない場合は、パスポートの写し等も添付します。
写しには、原本と相違ない旨の本人の記載と押印が必要です。
パスポートの写しには、日本語訳文が必要です。
(注)韓国の住民登録番号は、日本の法務局では生年月日とは認められていません。
従って、韓国の住民登録証(日本のマイナンバーカードのようなもの)は、法務局でする会社設立手続には原則必要ありません。
公証役場にて
定款認証時、発起人のサイン証明、印鑑証明書等を委任状等とともに公証役場に提出します。
原本還付もできます。
実質的支配者が外国人の場合
実質的支配者が外国人の場合は、その人のパスポートの写し等も添付します。
写しには、原本と相違ない旨の本人の記載と押印が必要です。
パスポートの写しには、日本語訳文が必要です。
登記申請
代表取締役の全員が海外に居住している外国人であっても,日本で会社を設立できます。
会社設立登記の添付書類として、代表取締役の印鑑証明書が必要です。
しかし、印鑑証明書を提出できない場合は、どうすればよいでしょうか?
外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について|法務省
サイン証明書
代表取締役の全員が海外に居住している外国人である場合、登記所に印鑑証明書ではなく当該外国人のサイン証明書(サインが本人のものであることについて本国官憲が作成した証明書;署名証明書とも) を添付します。
中国や韓国のように印鑑登録制度がある場合は、印鑑証明書を提出します。
サイン証明書は、国籍の大使館や領事館や国籍国公証役場で作成したものであれば受理されます。
例えば、B国に居住するA国人の場合、A国にあるA国の行政機関、在日A国大使館、在B国A国大使館、A国の公証人等が作成したサイン証明書であれば添付可能です。
登記所によっては、本国官憲の署名証明書を取得できない場合に、日本の公証人が作成したサイン証明書を添付してもよい場合もあるようです。
外国語で作成されたサイン証明書や印鑑証明書には、日本語訳文が必要です。
本人確認証明書
取締役会設置会社では代表取締役ではない取締役、監査役等は、外国に住んでいる外国人であっても必要なのは本人確認証明書で、印鑑証明書やサイン証明書までは要求されていません。
取締役、監査役等の本人確認証明書は、認証権限を有する官憲(公証人等)の面前で宣誓のうえ、氏名、住所、生年月日等を供述した書類で、公証人の認証を受けたもの(宣誓供述書)が原則ですが、パスポートや運転免許証の写しでもよい場合があります。
ただし、パスポート等に住所が記載されている必要があります。
写しには、原本と相違ない旨の本人の記載と押印が必要です。
むろん、印鑑証明書を添付できるのであれば、本人確認証明書として使えます。
平取の場合
取締役会を設置しない株式会社で、外国に住んでいる外国人が代表権のない取締役(いわゆる平取)に就任する場合、添付書類としてサイン証明書または印鑑証明書を提出します(日本語訳文もお忘れなく)。
選任書類、就任承諾書の住所・氏名は、日本語訳文と一致させます(登記事項は住所のみ)。
印鑑提出
会社の代表者が登記所に印鑑を提出する時には、印鑑証明書の添付が必要です。
印鑑証明書を提出することができない場合の扱いは、上記と同じです。
会社の代表者が韓国在住の韓国人で、添付する韓国の印鑑証明書に生年月日の記載がない場合は、パスポートの写し等も添付します。
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