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JA住宅ローン利用時の設定登記

農協(JA)の住宅ローンを利用したら、抵当権者は何なんやろう?

抵当権者に農業協同組合とかJAとか書いてある登記簿なんて見たことないですよね?

じゃあ、農協さんに融資してもらったら、登記申請書に何て書いたらいいんでしょうか?

目次

抵当権者は農協でもJAでもない⁉

「農協 JA 抵当権」とかでネット検索しても、JA住宅ローンの抵当権者名は全く出てきません。

それもそのはず――

不動産に抵当権を設定するのは、農協(JAバンク)さんではなく、農協さんが指定する保証機関ですから。

決済の日にお客様が農協(JAバンク)さんから融資を受ける際、農協さんが指定する保証機関と保証委託契約を結びます。

この保証機関が、抵当権者なんです。

保証委託契約とは?

保証委託契約は、お客様に債務不履行が生じた場合、保証機関が農協さんに対して保証債務を履行する、ということをお客様が保証機関に委任する契約です。

保証機関は、お客様が農協さんに対して負う債務(金銭債務)を保証します。

保証機関は、もし将来保証債務を履行した場合には 、お客様に対する求償債権を有することになりますから、住宅ローンを保証委託する場合、農協さんではなくて、保証機関がお客様が取得された不動産に抵当権を設定します。

JA住宅ローンの抵当権者

JA住宅ローンの抵当権者は、農協さんが指定する保証機関になります。

農協さんが指定する保証機関は、府県により異なるようですが、

○○県農業信用基金協会
または
協同住宅ローン株式会社

となることが多いようです。

大阪の場合、大阪府農業信用基金協会です。

JA住宅ローンのチラシをよく見てみると、下の方に小さい字で書かれています。

登記申請書

JA住宅ローンの登記は、いろいろと変わっているので、縷々摘示していきます。

ちょっと変⁉な登記事項

抵当権者は、農業信用基金協会です(大阪の場合)。

抵当権の任意登記事項に、利息と損害金があります。

お客様と農協さんとの間の契約には利息の定めがあるんでしょうけど、抵当権設定契約証書に記載があるのは債権額と遅延損害金だけなので、登記するのも債権額と損害金だけで利息は登記しません。

保証委託契約先の保証機関が抵当権者になるので、登記の原因は、「金銭消費貸借」ではなくて「保証委託契約」です。

保証委託契約のときは、

「保証委託契約に基づく求償債権」
「保証委託契約による求償債権」

が登記の原因となることが多いのですが、農協さんはわざわざ紙までくれて「保証委託契約」と記載するよう指示してきますから、余計なことは書かないようにしましょう。

登録免許税 特例に気をつけろ!

抵当権設定登記の登録免許税は、債権額の0.4%です。

が、農協さんから融資を受けた際にする登記の手数料には特例が適用される場合があります。それが、

農業者等が農業信用基金協会の保証を受けるため、農業信用基金協会を抵当権者として設定する抵当権の登記を行う場合は、登録免許税が債権額の0.15%に軽減されます。

というものです。 ……、「等」がクセ者ですね……。

さらに、住宅用家屋証明書がもらえる場合、債権額の0.1%になります。

登記申請は安い方を適用しますから、築20年以内の建物に抵当権を設定する場合はお客様が農業者等であろうとなかろうと住宅用家屋証明書をもらって債権額の0.1%を支払って申請することになります。

申請書の書き方

登 記 申 請 書

登記の目的  抵当権設定

原   因  年月日保証委託契約年月日設定 (←後半は同日設定が多い)

債 権 額  金○○万円

損 害 金  年△・▲%(年365日の日割計算)

債 務 者  

抵当権者       大阪市中央区高麗橋三丁目3番7号
                    大阪府農業信用基金協会
           (会社法人等番号 1200-05-004352)
                    理事 

設 定 者  
       
添付書類     
    登記識別情報     登記原因証明情報(原本還付)
    住宅用家屋証明書(前件添付)   会社法人等番号
    印鑑証明書      代理権限証書   

年月日申請 大阪法務局○×出張所

代 理 人  事務所住所
             司法書士 
             電話番号 

課税価格       金○○万円

登録免許税  金□□円(租税特別措置法第75条) ←○○×1/1000

不動産の表示

司法書士のふるまい方

農協の担当者の方が、

「どこの農協でも同じですよ」

と、仰ったはったんで、書いてみました。

農協さんとのやり取りは、こんな感じです。

決済前

決済の10日前から1週間前には書類の準備ができているようなので、前もって農協さんの担当者に連絡してから取りに行きます。

その際、受取書に押印するので、認印を持って行きます(身分証や会員証は不要)。

農協さんへ行くと、以下の書類を渡してくれます。

・買主(設定者兼債務者)の住民票
・買主(設定者兼債務者)の印鑑証明書
・「抵当権設定登記原因について」(登記原因を「保証委託契約」と書けという指示書)
・委任状(協会印だけ押してあり、あとは空白)
・抵当権設定契約証書(すべて空白)

委任状の記載はあっさりしてますが、登記所窓口で完了書類を受け取るのであれば、穴を埋めるだけで十分だと思います。

抵当権設定契約証書の空白部は、決済時に記入するように言われたんですが、
――"抵当物件の表示"は書いてないんですか?
って決済時に言われました。

"抵当物件の表示"は司法書士が記入するので、決済前に"抵当物件の表示"左側の"物件の表示"欄に前もって手書きしておくことをお勧めします。
(印刷した紙を貼ると、債務者・設定者全員の契印(割印)が必要となり、面倒です。)

所有者(設定者名を書く)は前もって書いておいてもよいですし、決済時に書いてもよいです。

抵当権設定契約証書は登記所に提出しますが、原本還付処理をして、返してもらいます。

決済時にお客様の押印をいただいたら、農協さんにコピーしてもらいましょう。
(ていうか、農協さんの方から、コピーしましょうか、って言ってくれます)

決済時

決済時に気になることの一つに、コピーをしてもらえるのか、という問題があります。

ご安心ください!
農協さんは、心が広いです。
もちろんコピー代も請求されません。

抵当権設定証書は両面コピーしてくれますし、コピーが2部要るのであれば、その旨を話せばちゃんとしてもらえます。

抵当権設定登記と関係ないでもコピーしてもらえるので、押印後の所有権移転登記の登記原因証明情報もついでにコピーしてもらいましょう。

やるやんかJA‼

あと気になったのは、完了後謄本を2通送ってくれとしつこくいわれたことです。

農協さんの分と農業信用基金協会の分と2通要るそうです(お客様の分は……?)。

1時間程決済の場にいましたが、その間に3回も言われました。

それだけ1通しか送らない司法書士が多いんでしょう。

受領証

登記申請後、受領証(及び登記申請書のコピー)をFaxで送るようにいわれます。

オンライン申請の場合は、「受付のお知らせ」でかまいません。

上記申請書のように記載していれば、何も言ってこないです。

登記完了後

農協さんからは、郵送してほしい、っていわれました。

が、うちは登記識別情報を含む場合は手渡しを原則としているので、少々遠かろうが農協さんにうかがって持参しました。

農協さんにお渡しする完了後書類

・抵当権の登記識別情報
・登記事項証明書 2通
・抵当権設定契約証書(原本)
・登記完了証

登記事項証明書は「2通」ですよ‼ 大事なんで、3回言いましたよ!

登記完了証は特にいわれませんでしたが、送付する司法書士が多いようです。

「またお願いします」なんていわれたけど、「また」はあるんやろうか……(?)

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