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住宅用家屋証明書をもらおう!

「決済お願いします」

司法書士が不動産業者や銀行からそう言われたら、間髪入れずに、

「築20年以内の建物ですか」

と、尋ねます。

どうしてそんなことを訊く必要があるのでしょうか?

目次

住宅用家屋証明書のご利益

司法書士が築年数を確認するのは、古くない建物なら売買による所有権移転登記を申請する際にかかる登録免許税が安くなるからです。

大阪市のサイトには、
個人が居住するための住宅を取得し、一定の要件を満たした場合、住宅用家屋証明書を取得することにより、所有権の保存登記、所有権の移転登記、抵当権設定登記の際にかかる登録免許税の税率の軽減措置を受けることができます。
と、記載があります。

つまり、住宅用家屋証明書があれば、登録免許税の税率が、

所有権保存登記 0.4% → 0.15%

所有権移転登記 2.0% → 0.3%

抵当権設定登記 0.4% → 0.1%

と、軽減されますから、軽減対象であったのに本則通りに納税してしまうと……

住宅用家屋証明書は、市町村役所(固定資産税担当)に申請します(手数料 1通1300円)。
(本庁のみ対応可で、出張所(駅前等)は不可の場合が多い 大阪市は、市税事務所)

住宅用家屋証明書の取得要件

住宅用家屋証明書を取得できる要件とは、

・個人が自分が居住するために使用する家屋であること
・床面積の合計が(登記上)50平方メートル以上であること
・新築または取得から1年以内に登記をすること
・中古物件購入時は、取得の日からさかのぼり、木造・軽量鉄骨では20年以内(耐火建築物にあっては 25年以内)に建築されたもの
・住宅面積が家屋の床面積の90%を超えること(店舗などを含む併用住宅の場合)
・区分所有建物の場合、建築基準法上の耐火または準耐火建築物であること

ということで、

業者・法人はダメ(例外なし)
所有権の登記にかかる税金については、建物についてのみ減税されます。
取得1年以内については、決済日に登記申請するため、問題にならないでしょう。
減税の対象となる建物の築年数は、原則20年以内ですが、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄骨造等の建物であれば、25年以内であれば減税の対象になります。

ということに注意しておけば、家屋証明の要否は判別できます。

申請に必要な書類

新築建物の所有権保存登記申請の場合は、土地家屋調査士の先生が取得される場合が多いので、ここでは所有権移転登記及び抵当権設定登記申請を念頭に置いて記載します。

・登記事項証明書(写し可)
「インターネット登記情報提供サービス」から取得した照会番号と発行年月日が記載された登記情報(100日以内のもの)もOKであれば、こちらの方が安価(不動産1件につき334円)
・売買契約書、売渡証書、代金納付期限通知書(競落)等(写し可)
登記原因証明情報の写しを提出することがほとんどです(取得年月日の明記が必要なため)。
・住民票(写し可)
a)家屋の所在地へ転入手続済の場合 住民票の写し
b)転入手続がまだの場合 現在の住民票の写し+申立書
決済の場合、多くはb)に該当し、申立書を作成します。
・申立書
・現住家屋の処分方法がわかる書類
現住居を売却予定→売買契約(依頼)書(写し可)
現住居を賃貸予定→賃貸借契約(依頼)書(写し可)
現住居が借家→賃貸借契約書又は家主の証明書(写し可) 家賃の領収書等の写しでもよいかも
現住家屋が社宅、寮等→家賃の天引きが明記された給与明細の写し(2,3月分が望ましいらしいが、1か月分だけでも許してくれる)
現住家屋に親族が住む場合等→当該親族の申立書等(原本)
・金銭消費貸借契約書、抵当権設定証書等(写し可)(抵当権設定登記を申請する場合)

書類の作成方法

申請書の書き方

申請者は、買主です(申請人は司法書士か土地家屋調査士、寝屋川市の願出人は司法書士か土地家屋調査士)。
申請者住所・氏名欄の記載については、買主が複数(共有)になる場合に注意が必要な場合が。
申請者氏名欄に、持分まで書かなくてよい。(以前は持分の記載が要求されたため、ベテランの先生方の多くは今も持分の記載をしているそうですが、現在は持分を記載しなくても家屋証明書を発行してもらえます。)
申請者住所欄は、共有者全員の住所が同じ場合、申請者の住所は1つだけ書けばよい(①②で同じ住所を2行書いてもよい)。

あとはとにかく登記簿の記載に忠実に引き写してゆきます。
大阪市の区分建物の場合、構造と床面積に注意が必要。
構造 鉄筋コンクリート造1階建○階部分
床面積 登記簿通り(評価証明書を引き写ししないこと!)
登記簿の床面積に記載の「○階部分」を構造の欄に記載します。
枚方市の床面積欄は、区分建物であれば、左欄の1階の箇所に「○階部分 41|76」と記入すればよいそうです。

枚方市の申請書には、枠外に申請人の記名押印欄がありますが、申請人の身分証の提示までは求められません。申請に来た先生が家屋証明書を忘れていくケースが多々あったらしく、市が先生に連絡できるようにするためとのこと。
いかなベテランの先生でも、決済の時はテンパってるんでしょうね。

誤記があった場合、訂正して出直すのが原則ですが、ほとんどが急ぎの申請なので、臨機に対応してもらえます。
某市では、当該箇所に修正テープを貼り、手書きで記入後、コピーして発行してもらいました。
枚方市では、少々不備があってもその場で発行はしてもらえるようですが、誓約書を書いて、後日不足書類を提出します。

申立書の書き方

建物を購入された方が、その建物の所在地へ転入手続をしていない場合、申立書が必要になります。
立会決済で買主が個人の場合、申立書を作成することがほとんどです

入居が登記後になる理由は、「当該家屋の取得資金を借りるため抵当権設定を急ぐため」。
入居予定年月日は、申請日から2週間以内が妥当(2月後の日を記入し、提出・受理されたことも)。
構造・床面積は、間違っていてもあまり突っ込まれないらしい。
家屋の住居表示は、売主がその物件に住んでいたのなら登記簿上の住所を記入すればよいらしいが、わからなければ空白で
(構造・床面積や住居表示の記載の有無は市によるらしい)

忘れるな‼住宅用家屋証明書の原本還付

新築または建築後未使用の建売住宅の所有権保存登記を司法書士が申請する際は、住宅用家屋証明書の原本還付請求をすることが多いです。

住宅用家屋証明書って、登記の手数料の減免だけにしか使えないんじゃないの?
実は、住宅ローン減税のための確定申告にも使える場合があるのです。

住宅購入後、初めて確定申告をする際に長期優良住宅の住宅ローン控除の手続をするには、住宅用家屋証明書が必要となる場合があります。住宅用家屋証明書の原本がない場合は、そのコピーがあれば確定申告に使用することができます。

原本還付請求をしなければ登記所で回収されてしまいますから、最悪を回避するには、面倒でも申請前に添付書類のコピーをとっておくのが無難です。
いずれにせよ、住宅用家屋証明書を取得したらすぐにコピーをとりましょう‼

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