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登記添付書類 聞けなくて間違うこと

実務をしていると、素人目には些細そうなことでも、
「えっ、そんなもんが問題になるの⁉」
と、唸ってしまうことが結構あります。

司法書士や補助者にとっては当たり前過ぎて教えてもらえないけれども、知らないと登記所で恥をかきそうなことを集めてみました。

参考サイト
今さら聞けない⁉書面申請のやり方
不動産の評価額を証明する書類

目次

原本還付処理の罠:添付情報のコピーに注意!

みなさんは、添付情報のコピーをどのようにして取っておられますか?
あることに気をつけておかないと、原本が還ってこなくなる場合がありますよ⁉

原本還付処理とは?

登記申請時に添付する書類は、原則として登記完了後に還してもらうことができます。
(委任状や印鑑証明書等、その登記申請のためだけに添付した書類を除く)

むろん、何も申し出なければ、登記所で回収されてしまうので、「原本還付」と明記する必要があります。

この場合、添付書類のコピーを取り、
「原本還付 この写しは原本と相違ない 氏名 印」(登記所にスタンプあり)
のように記載して原本と一緒に登記所へ提出します。
(コピーを他の添付書類と一緒にホチキスで綴じて、原本は別にする)

これを、
「原本還付処理」
と、いいます。

原本からコピー機で直接コピーした場合は問題ないのですが、事務所等にあるスキャナーでpdfに取り込んだものを出力した紙を提出すると、登記所から電話がかかってきます。

添付情報のコピーの取り方

pdf化した書類は、複合機で勝手に縮小されたものが印刷されてしまうようで、原寸大(100%)でないから不可にされてしまいます(100%で印刷された書類と重ね合わせると明らかに大きさが違う)。

オンライン申請が導入された直後に法務省から各書士会に通達があったようで、その頃に司法書士をされていた先生方からすれば自明なのでしょうが、10年ほど経った現在では新人研修(日司連、ブロック、単位会全て)でもそのような話が取りあげられず、聞いたことがないため、知らない人も多いのではないでしょうか。

原本還付処理をする際は、スキャナーでpdfに取り込んだものを出力するのではなくて、原本をコピー機で直接コピーしましょう(さらに、原寸大であることも確認すべし)‼

オンライン申請時の相続関係説明図

オンライン申請をする時は、登記原因証明情報のpdfファイルを添付情報として送信します。
(登記原因証明情報が住居票等の公文書である場合は、添付送信不要)

相続登記を申請する際の登記原因証明情報として、相続関係説明図を添付すれば、戸籍謄本等相続を証する書類が還付されます。

そこで、相続登記をオンラインで申請する時は、相続関係説明図のpdfファイルを添付情報として送信しますが、それを出力した紙も添付書類として登記所へ提出します。

ハッキリ言って、これ、紙のムダですよ⁉
だって、登記官は、オンラインで送信されてきたpdfファイルを紙に出力して確認されているんですよ。
それなのに、こちらが同じ紙を出したところで、いったい何に使うのよ⁉

ちなみに、相続関係説明図には、記名も押印も(さらには作成日も)不要です(出力した紙も)。

登記識別情報の添付方法

登記識別情報は、登記申請の際、登記所で本人確認する方法として提供します。

平成17年3月7日の不動産登記法改正により、それまでの登記済証(いわゆる「権利証」)に代わり、登記識別情報が通知されることになりました。

登記識別情報は、12桁の数字とアルファベットの羅列記号の形式になっており、登記識別情報通知と書かれた用紙(登記識別情報通知書)の下側に記載されています。

書面申請時の登記識別情報の添付方法

書面申請の場合、登記識別情報を記載した書面を封筒(長形3号)に入れて封をします。

「登記識別情報を記載した書面」について
登記識別情報通知書の原本しか添付できないなのではないか、と思ってしまいがちですが、実は登記識別情報通知書のコピーでも問題ありません。さらに、12の文字を記載したメモ書きでもよいらしい。
登記識別情報を記載した書面は提出後、登記所で処分されてしまい、返却されません。今後別の登記申請でも必要になる等、原本がなくなったら困る場合は、コピーかメモ書きを封筒に入れて出しましょう。

封筒への記載事項
封筒の表面に、登記の目的及び「登記識別情報在中」と記載します。
例:3-1 抵当権抹消 登記識別情報在中、3-2 所有権移転登記 登記識別情報在中

封の仕方
当該申請の添付書類の一番後ろの紙とともに封をした封筒を軽くホッチキス止めするよう教わりましたが、封筒を申請書にクリップで留めておけばよいみたいです。

目隠しシールがうまくはがれないとき

オンライン申請で登記識別情報を提供するには、所定の欄に12の文字を記入します。

書面申請と同様に登記識別情報通知書を封筒に入れて封をして登記所に提出すると、返却されてしまいました。
どうやら12の文字を送信しさえすれば、紙での提供は不要のようです。

登記識別情報通知書ははじめはシール式でしたが、平成27年以降折り込み式に変更されました。

シール式では不都合なことが多かったのです。

特に平成20年と平成21年に作成された登記識別情報通知書はのりづけが過剰で、目隠しシールをとてもはがしにくいことが多いようで、強く削りすぎて字まで剥がれたら怖いな、なんて思うこともあります。

これは登記所のせいなんやさかい、登記所の方で何とかせい、みたいな感じで、少々シールが残ったままで提出している先生もいらっしゃるらしい……

登記識別情報通知書を再作成してもらうこともできますが、そこまでしなくてもよいでしょう。

不安なら、コピーを登記所に提出し、原本は手元に置いておく方がよいかもしれませんね。

会社等の印鑑証明書が不要に

不動産登記の申請で、会社等の印鑑証明書の添付が不要になりました。

令和2年3月30日から施行されたこの改正により、実務上はあまり変わらん、もとい、よりややこしく面倒になった感が……

こんな時に改正するのは、この年に司法書士試験を受ける人に対する嫌がらせなんちゃうやろか……

変更点と適用範囲

これまでは、不動産を売買する時、売主は印鑑証明書(3か月以内)の提供を要求されました。
例外として、会社や法人の本店所在地を管轄する法務局と、不動産登記を申請する管轄の法務局が同じ場合は、当該法人の印鑑証明書の添付を省略できました。
つまり、大阪法務局管内の北出張所や枚方出張所などへ申請する際は、売主である会社の印鑑証明書が必ず要りました。

それが、今度の不動産登記規則の改正により、会社等の法人が売主で、会社法人等番号を提供したときは、印鑑証明書が不要になりました。
これは、法務局のシステムの改善により、北出張所や枚方出張所などでも、会社法人等番号がわかれば、登記官がその会社の印鑑証明書を出力することができるようになったことが背景にあるようです。

印鑑証明書が不要になったのは、所有権移転登記申請時にかかる印鑑証明書だけではありません。第三者の承諾書として実印を押した者の印鑑証明書についても同様の扱いになりました。

実務への影響

これまで通り印鑑証明書を添付したら、どうなるのでしょうか?

この場合、登記官は添付された印鑑証明書で審査してもよいとされております。
が、実際、登記官は(添付された印鑑証明書を無視して)自分で印鑑証明書を出力して所有権移転登記申請手続の委任状に押された実印との照合をされていました。
従って、補正をくらうわけではなく、他に不備がなければ登記されます。
――こいつ、知らへんねんな~
って、肚の中で嗤ってるかもしれませんがね……。

ただし、印鑑証明書が不要になったのは、登記所への提出だけであり、実務を行う司法書士としては、委任状への押印が実印であることを確認しなければなりませんから、売主が不動産業者であっても、これまで通り印鑑証明書の提供をお願いすることに変わりありません。(もらった印鑑証明書をどないすんねん、って問題が生じますが)

さらに、印鑑証明書の添付は省略できるものの、申請書の添付情報としての記載は省略できず、

――印鑑証明書(会社法人等番号 ○○○○-○○-○○○○○○)

と、記載します(提出しないのにね……)。

登記官が義務者たる会社の印鑑証明書を出力できるようにするためなのでしょうが、書くコト増えとるやんけ~

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