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司法書士が後見人になるまでにすること

令和の御世、司法書士が独立して初の仕事が後見、というケースが多いのではないでしょうか。
新人研修では、登録したら後見をしたいという人が多いです。

司法書士の先生方とお話するとき、後見の話になるとうれしそうにお話される先生が多いような気がします。
いったい、後見の仕事のどこが司法書士を惹きつけているのでしょうか。

・司法書士が後見人になるまでにどんなことをすればよいのか
・司法書士登録をしてから報酬をもらうまでどれだけの年月がかかるのか

気になることを、赤裸々に綴ります。

成年後見 ラインナップ
後見人になったらまずすべきこと
後見人になったら次にすべきこと―後見人就任の届出

目次

リーガルサポート(LS)への入会

リーガルサポート(LS)という日本司法書士会連合会が中心となり、司法書士を正会員として設立された公益社団法人があります。
司法書士が後見人になりたいのなら、LSに入会し、後見人名簿に登載されるのが手っ取り早いです。

即独の場合は、司法書士登録したらまずLSに入会するのがよいかもしれません。(登記等他の仕事にあてがある場合は別ですが)

後見人名簿に登載されると、LSから後見人の配転がきます。
配転に応諾すれば、後見人候補者になれます。

後見人名簿登載の要件は、LSが指定する15の研修講座を受講することです。
名簿に登載されるには、LSの会員である必要がありますが、研修受講時に必ずしもLS会員である必要はないようです。
従って、研修受講後LSに入会し、名簿登載申請することも可能です。
ほとんどがDVD研修ですが、1日3講座ずつ組まれてある場合は、5日(2,3週間)で登録要件を満たすことになります。

名簿には、後見人名簿と後見監督人名簿の2つがありますが、いきなり後見監督人名簿に登載されることはありません。
後見監督人名簿に登載されるには、原則1年以上後見人を務めなければなりません。

もっとも、1年以上後見人を務めても監督人になりたくない先生は後見監督人名簿登載申請をしません。
一方で後見人が嫌で監督人しかしていない先生もいるので、人によりますね。

楽な後見業務

後見人になりたくても、被後見人の状況によっては回避せざるを得ません。
配転がきたら、どこをみて内諾するかどうか判断すればよいのでしょうか?

ベテランの先生がおっしゃるには、
・施設入所
・後見相当(会話あり)
・財産が少しある
・女性
の場合だと、楽でやりやすいそうです。
初めて後見をされる際は、この条件で検討してみるとよさそうです。
(男性の先生なら、被後見人が男性でもよいと思います)

逆に、
・在宅(デイサービスや訪問看護はしんどいらしい)
・独居
・徘徊
・無財産
・男性
の場合はしんどいらしく、特に女性の先生は嫌がる傾向があるそうです。

司法書士は、毎年度公益的活動をすることが求められますが、後見人は公益的活動の1つです。
いくら公益的活動といえ、無報酬案件はやるせないかも(報酬助成の制度はありますが)

就任前の段階では、被後見人の財産が不明な案件も少なくありません。

報酬のことがあるから、どうしても被後見人の財産が気になってしまいますが、ないならないで増やしようはあるようですが……

いざ、家裁へ――

後見人候補者になれば、家庭裁判所から電話がかかってきて、後見申立記録を閲覧しに来るように言われます。

初めての閲覧、どんなことに気をつければよいでしょうか?

申立記録確認時の注意点

後見センターへゆくと、身分証の提示を求められます。
身分証といえば、運転免許証がメジャーですが、司法書士の場合は、書士会の会員証を提示してください、とのことでした。
登記所と同じです。(もともと登記所は、裁判所の中にあったらしい)

後見申立記録は、被後見人の状態や財産に関することの他に医師の鑑定書や裁判所調査官の聞き取り報告等が含まれます。
閲覧の目的は事件関係者との利害関係がないことの確認ですが、以下の事項を念頭に置いてこれまでの経緯や当面課題になりそうなことをイメージすればよいと思います。

・被後見人がどんな財産を持っているか
・財産の収入・支出
・誰が被後見人の財産を管理しているか
・被後見人の財産の現状
・被後見人を支援する際に重要な人は誰か?
・親族や関係者との間で争い事がないか?

後見人就任後、全資料のコピーを買わされるので、細かくメモを取りながら読み進めるより、ざっと目を通す程度でよいと思います。
要は、就任したらすぐ動けるように最初に何をすべきかをはっきりさせればよいのです。

承諾書兼上申書の記入方法

閲覧後、2枚の書類に記載を求められます。
記録閲覧・謄写申請書及び承諾書兼上申書です。

承諾書兼上申書中の審判書の住所表示や送達場所は、事務所住所にチェックを入れる人が多いようです。
が、事務所と自宅の住所が違う場合は、銀行解約時に職印証明書も必要になります。
一方、自宅の住所にチェックすると書く箇所が増えますが、銀行解約時に職印証明書が不要です。
(本来は住民票の写しの添付が必要らしいが、結局そこまでは求められなかった)
事務所と自宅の住所が同じであれば、事務所住所にチェックを入れるのが賢そうです。(書く箇所が少ない上に、職印証明書も不要だから楽)

押印は、認印でかまいません(家裁職員から職印の持参を指示されても無視してよい)。

後見申立記録の確認は、30分程度で終わります。
上記を心がけていれば、より短時間で済ませられます。
家裁へ行く時間の方が長いですね。

1週間以上経つと、家庭裁判所から審判書謄本が特別送達されてきます。
しかし、審判書謄本を受け取った瞬間に後見人になるわけではありません。

登録から初報酬までどれだけの年月がかかるのか?

以下に、自分が司法書士登録してから、報酬をもらうまでを時系列で示します。

司法書士登録 6月
LS入会申込  7月
後見研修受講 7月~8月
後見人名簿登載申請 8月
LS入会    9月
LS会費引落・後見人名簿登載 10月
LSからの配転 12月
後見申立記録の確認 12月末(年末)
審判書謄本受領   翌年1月上旬
後見人就任     1月下旬
被後見人との面会  2月上旬
家裁への初回報告  3月
初報酬申立   8月(被後見人誕生月)
初報酬受領   9月

要領よくふるまえば、もっと早く報酬をもらえるかもわかりませんが、被後見人の誕生月が来なければ報酬をもらえないことを考えれば、初めての報酬をもらえるまでの期間は運やタイミングに左右されそうです。

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